国際生物多様性の日(5月22日)に寄せる
コフィー・アナン国連事務総長メッセージ
プレスリリース 04/040-J 2004年05月24日
すべての生物に欠かせない基本的な財と生態サービスを提供する生物多様性は、持続可能な開発、貧困の根絶、そして「ミレニアム開発目標(MDGs)」の達成にとっても極めて重要な要素として認識されるようになりました。今年の「国際生物多様性の日」のテーマ「生物多様性:万人にとっての食糧、水、健康」は、食糧安全保障と水の十分な供給を確保し、世界の生物資源を原料とする多種多様な伝統薬と近代的医薬品を守ってゆく上で、生物多様性が重要であることを物語っています。
2002年の「持続可能な開発に関する世界サミット」では、各国政府が2010年までに、生物多様性損失のペースを大きく減速させることを約束しました。それ以来、生物多様性は、人間開発と地球の存続に関する話合いの場で、ますます重要な議題となってきています。生物多様性条約とそのバイオセーフティー(生物学的研究における安全性)議定書、および、この2つの協定によって発足したプロセスは、生物多様性の保全と持続可能な利用、および、遺伝資源の利用による利益の公正かつ公平な共有にとって極めて重要だとの認識が、各国政府に広がってきています。
この1年間には数多くの進展が見られました。昨年9月には、バイオセーフティーに関するカルタヘナ議定書が発効しました。条約締約国は、2010年の目標に向けた進捗状況を測定する指標を採択しました。締約国はまた、遺伝資源へのアクセスと利益共有に関する国際的制度の策定と交渉を支持することを決定しました。
しかし、このような行動には、国内政策や、新規の追加的資金と技術資源による裏づけが必要です。さらに、生物多様性保全の責任は、政府を越えてはるか遠くまで広がっていることも忘れてはなりません。それぞれの個人、地域社会、部門そして組織は、官民、国内・国際あるいは非政府を問わず、教育と模範を通じて様相を一変させることにより、無分別あるいは執拗な浪費と破壊を食い止めることに貢献する義務を負い、また、そうすることで利益を得られるのです。
生物多様性の損失を食い止められなければどうなるか、考えるだけでも恐ろしいことです。陸上で、海中で、そして大気中で、地球の生命維持装置の健全性と効果的機能を確保することを、私たちの最優先課題とすべきです。国際生物多様性の日にあたり、生物多様性の価値に対するグローバルな認識を高め、そして何よりも、私たちの貴重な命の源泉を守るために力を尽くすという誓いを新たにしようではありませんか。