国際高齢者デー(10月1日)に寄せる
コフィー・アナン国連事務総長メッセージ
プレスリリース 03/100-J 2003年10月03日
今後20~30年の間で、高齢者はあらゆる地域や社会においてますます重要な存在となっていくことでしょう。しかし最近までは、高齢者の能力を社会開発にどのように有効利用できるか、ほとんど関心が払われませんでした。
昨年、第2回国連高齢化に関する世界会議において、高齢化に関するマドリッド国際行動計画が採択され、高齢化問題および高齢者に対する考え方の根本的見直しが叫ばれるようになりました。マドリッド計画は、高齢化に関する政策問題を社会福祉という狭い枠から解放し、開発政策の議論の本流に組み入れました。高齢者は、社会にとって非常に強力かつ未開発の資源であることが認められたのです。私たちがどのように高齢化社会に適応し、あらゆる年齢の人が参加できる社会を築くことができるかについて、提言がなされました。
現在会期中の国連総会に提出した私の追跡報告のなかで、私はマドリッド計画実施のために各国が取るべき国内および国際的な行動の実践的枠組を提案しました。これは各国における能力育成と、高齢化問題を開発関連の議題という本流に組み入れるという2点を柱としたものです。
実施プロセスの1年目に当たる今年、いくつかの方面でかなりの進展が見られました。政府間レベルでは、行動計画実施の検証と評価方法について合意がなされました。2002年には、ヨーロッパとアジアの加盟国で実施戦略が開発され、ラテンアメリカとカリブ諸国では、本年末までに戦略が完成することになっています。アフリカ地域でも実施プロセスが始まることを期待しています。
私たちは誰でも、地域あるいは家庭、農業あるいは都市の企業社会、また教育、技術、芸術、貧困削減、平和構築などの場において、高齢者の能力を取り入れることで、世代間の橋渡しをすることができます。私たちに与えられた課題は、高齢者の隠れた貴重な特質に光をあて、21世紀によりよい世界を作り上げるための青写真であるミレニアム開発目標(MDGs)達成をはじめとした開発手段の活動に取り入れることです。本日の国際高齢者デーにあたり、開発行動における強力な資源としての高齢者の能力を最大限活用しようではありませんか。