世界人口デー(7月11日)に寄せる
コフィー・アナン国連事務総長メッセージ
プレスリリース 03/078-J 2003年07月11日
~ エイズ対策と健康増進には情報とサービスが肝要 ~
今年の世界人口デーのテーマ「10億人の青少年:健康、情報およびサービスを得る権利」です。安全で生きがいのある人生を送り、その家族とコミュニティの繁栄に貢献しようとする若者の努力を支援する必要性に焦点が当てられています。
世界全体で、数百万人の少年・少女が教育を受けられず、その個人的な将来性と社会全体の将来性がともに損なわれています。少女全体の半数が18歳になる前に結婚し、若年出産によってしばしば、母子双方が深刻な健康上の危険にさらされている国もあります。教育を受けた女性は結婚が遅く、健康でよい教育を受ける子どもを育てる傾向にあるようです。つまり、このような恩恵は、彼女たちによって後の世代にまで引き継がれていきます。教育と情報は、出産する子どもの数にも影響します。女性が18歳でなく、23歳になってから第1子を生むとすれば、それだけでも人口増加の勢いを40%以上もそぐことができるのです。
情報とサービスは、また、エイズ対策や、より幅広い健康の増進にも欠かせません。若者はどのようにHIVウィルスに感染するか、そして、感染を防ぐためにはどうしたらよいかを知るべきです。このことは場所を問わず重要ですが、感染率がすでに高くなっているか、急激に上昇している国々では極めて重要な問題です。リプロダクティブ・ヘルス・サービスと、リプロダクティブ・ヘルスに関する事実に基づく情報も、若者が危険な行動、望まない妊娠、および、全般的な健康障害を回避する助けとなるでしょう。さらに、性暴力と虐待が劇的な増大を見せている紛争地帯では、若者が立ち直り、自国の復興に参加するために、適切で配慮の行き届いたサービスを必要としています。
世界がミレニアム開発目標を達成し、1994年にカイロで開かれた国際人口開発会議で採択された行動計画を実施するためには、若者自身を関与させることが必要です。それが最も効果的な措置となるでしょう。若者のニーズを最もよく理解し、かつ、若者を対象とする企画策定に知恵を貸さなければならないのは、若者たち自身だからです。
世界人口の6人に1人は青少年です。開発途上地域では、人口の40%以上が20歳未満です。こうした若者たちが下す決定は、私たちの世界と、将来の世代への展望を形作ることになります。今年の世界人口デーにあたり、若者たちが必要とし、かつ、与えられて当然の健康、情報およびサービスを受ける権利を認識しようではありませんか。