世界電気通信の日(5月17日)に寄せる
コフィー・アナン国連事務総長メッセージ
プレスリリース 03/042-J 2003年05月17日
世界電気通信の日のテーマ「世界中の人々のコミュニケーションを支援する」は、人類が情熱を注いできたあらゆる分野におけるコミュニケーションの重要な役割を改めて想起させるものです。また最も貧しい国々では、今もなお何百万もの人々が、基本的人権と考えられるようになっている「コミュニケーションの権利」から排除されていることも忘れてはなりません。
「世界中の人々のコミュニケーションを支援する」ことは、2000年の国連ミレニアム・サミットにおいて各国首脳が合意したミレニアム開発目標の中心的な1つです。特にミレニアム開発目標の第8は「開発のために地球規模のパートナーシップを構築」し、「民間部門との協力により、新しい情報通信技術の恩恵を得られるようにする」ことを目指しています。デジタル・デバイド(情報格差)を解消し、世界の最も貧しい地域の発展を促進するために、最新の情報通信技術が使われなければなりません。
無料で情報を提供する媒体も情報社会には必要不可欠であり、世界中の人々のコミュニケーションを補助する上で非常に重要な役割を果たします。同時に、先進国と途上国の間の「コンテンツ・デバイド(情報内容格差)」にも対応する必要があります。途上国のメディアに従事する機関や個人に対し、現地の文化に従い、現地の言葉で、現地の情報内容を普及させることを奨励しなければなりません。私たちの情報社会では、報道の自由と情報内容の多元主義を両立させることは可能であり、またそうでなければならないのです。
現代は「情報社会」「デジタル時代」あるいは「情報の時代」などと言われています。どのような呼び方をしようとも、私たちが築く社会は、すべての国の、すべての人が情報と知識にアクセス可能な開かれた多元的な社会でなければなりません。これが世界情報社会サミットの主要目標であり、その第1段階が12月にジュネーブで開催されることになっています。
世界情報社会サミットは、各国政府、民間企業、および市民社会が共同で国際社会に刺激を与え、「デジタル・デバイド」を狭め、誰もが参加できる真に地球的な情報社会の基礎を築くための重要な舞台となるでしょう。この機会を逃してはなりません。