国際淡水年2003に寄せる
コフィー・アナン国連事務総長メッセージ
プレスリリース 03/012-J 2003年03月05日
国連総会が宣言した「国際淡水年2003」はとても重要な時期にあるといえます。2000年の国連ミレニアム・サミットにおいて、世界の指導者たちは、安全な飲料水を利用できずにいる人々の割合を2015年までに半減させることに合意しました。2002年にヨハネスブルクで開催された持続可能な開発に関する世界サミットにおいては、この目標に見合ったもう一つの目標、すなわち、基本的な衛生サービスにアクセスできない人々の割合を同じく2015年までに半減させるとのコミットメントが採択されました。これらの目標を達成することができなければ、私たちは重大な結果に直面することになるでしょう。命にかかわる病気が蔓延・流行し、地球環境がさらに悪化し、食糧安全保障への脅威と安定そのものが脅威に見舞われることになるでしょう。開発途上国の水問題はもっとも急を要する問題ですが、開発先進国も同じく水問題の危機に直面しています。
世界は水資源に対する取り組み方を改善する必要があります。これまでと比べてはるかに効率的な灌漑、有害物質のずっと少ない農業や工業、水に関連したインフラやサービスに対する新たな投資 ―― 私たちが今必要としているのはこうしたことです。私たちはまた、水を求めて毎日長い距離を歩かなければならない女性や少女たちからその重荷を取り除く必要があります。その代わりに得られた時間や努力は、教育と自分自身、自分の家族、ひいてはそのコミュニティのより良い生活を築くことに費やされることでしょう。「国際淡水年」はこれらの目標を達成すべく世界の国々を動員しなければなりません。そのためには人々の認識を高め、新しい考えや戦略を生み出し、参加とパートナーシップ、平和的対話を促進しなければなりません。私たちの努力を一つにまとめましょう。今、利用可能な知識や技術を十分に利用しましょう。世界の貴重な淡水資源を守るために最善を尽くしましょう。淡水資源は21世紀における生存と持続可能な開発のための生命線なのです。
コフィー・アナン
国連事務総長