テロの攻撃が国連の行動を活性化
アナン国連事務総長、年次報告書にて語る
プレスリリース 02/082-J 2002年09月25日
ニューヨーク、2002年9月11日午後3時
コフィー・アナン国連事務総長は、国連の活動に関する年次報告書で、1年前の今日アメリカを襲ったテロリストの攻撃が国際的な対テロ行動を活性化させたと述べている。
アナン氏は、「この1年、国連はテロに立ち向かう活動を強化してきました」と述べ、その事件のすぐあとに安全保障理事会の歴史的な決議が採択されたことに言及した。それは、すべての国にテロを抑制・防止するよう求め、その約束が確実に遵守されるための委員会の設立を定めるものであった。また、国連は、テロ対策に関する12の国際条約の批准と実行を促進する努力も行った。
アナン氏は、テロリストの脅威はなくさなければならないという固い信念を表明する一方で、テロ対策が人権を侵害しないようにすることが必要だと強調する。
また、この1年、アフガニスタンをはじめ、テロリズムの温床となった脆弱な国や崩壊した国を再建するという課題に世界が改めて注目することになったと彼は指摘している。しかし、同時に、中東、南アジア、中央アフリカで暴力と緊張が急激に拡大している。
一方、国際社会には喜ばしい動きもあった。アナン氏は、特に、東ティモールが独立したこととシエラレオネで選挙が実施されたことを取り上げている。国際的な活動の進展に関しては、最近の各種の国際会議により、国連2000年ミレニアム総会で設定された目標の達成に役立つ、各種の手段の概要が定められた。
また、この報告書には、国際刑事裁判所の規程が発効したことについて、「世界の秩序と正義に向けた先例のない一歩」と記されている。アナン氏は、この裁判所に懐疑的な国でさえも「ローマ規程を受け入れる可能性を完全に閉ざしてはいない」と述べており、楽観的な姿勢を崩していない。そして、「集団殺害、戦争犯罪、人道に反する罪に対して何の手も打たないのに比べればこの裁判所とローマ規程がもたらすリスクは小さなものだ」と理解することが必要だと強調する。
アナン氏は、テロリズム、大量の難民の移動、HIV/エイズ、人口過剰、環境の悪化や汚染などは国境を越えた問題であり、国際的な解決が不可欠であると指摘する。多国間の行動の必要性を考えると、国連は完全なものとはいえないものの、すべての国の資源の結集と協力を必要とする重大な世界的問題に対処する上で、国連以上にふさわしい組織はないのである。
「私たちに差し出された選択肢は明白です。交渉と合意を通して国際的な秩序と正義を達成する努力を強化し続けていくか、それとも、国家間の利害の衝突がそれ以外の方法で解決される時代に戻るかなのです。」
詳しくは国連ニュースセンター(http://www.un.org/news)をご覧ください。