国際薬物乱用・不正取引防止デー(6月26日)に寄せる
コフィー・アナン国連事務総長メッセージ
プレスリリース 02/053-J 2002年06月25日
~HIV/エイズの予防には、啓発キャンペーンとすべての社会の動員が必要~
2002年のテーマは「薬物乱用とHIV/エイズ」
今年の国際薬物乱用・不正取引防止デーのテーマは「薬物乱用とHIV/エイズ」です。アジア、ラテンアメリカおよび東欧では、薬物の注射がHIV/エイズの主な感染経路となっている国々が多くなっています。世界全体のHIV感染件数の5%~10%は、注射による薬物乱用によるものと見られています。注射による薬物使用者は緊密なネットワークで結ばれていることが多く、かつ、注射器を共有することが普通であるため、これはきわめて強力なHIVの蔓延経路となっているのです。
UNAIDS(国連エイズプログラム)の協力機関としての国連薬物統制計画(UNDCP)の活動は、HIV/エイズ禍と闘う共通戦略の重要な一部をなしています。例えば、ブラジルと東欧で、UNDCPは、社会でもっとも被害を受けやすい人々に対し、静脈注射による薬物乱用とHIV/エイズとの関係、および、薬物乱用と縁のない健全な生活を営むことの恩典を訴える教育的キャンペーンの先頭に立っています。
HIV/エイズを予防し、薬物の乱用と密売を止めさせることは、単なる公衆衛生上の課題ではありません。HIV/エイズは社会のあらゆる部分に影響しています。とりわけ、若者に対する被害が並外れて大きいほか、技能と教養に富む人々が働き盛りのうちに命を失ってゆくため、被害を受けた国と地域に悲劇的な影響が及んでいます。予防には政治的指導力、学校と職場での情報提供と啓発キャンペーン、ならびに、宗教およびコミュニティー指導者を含むあらゆる社会部門の動員と関与が必要です。また、貧困を軽減し、汚名感を少なくし、すべての人々に不可欠な社会サービスに対するアクセスを確保するための行動も急務となっています。
4年前の特別総会で、国連加盟国は、薬物の乱用および不正取引と闘う精力的な行動計画の実施を公約しました。そして昨年、HIV/エイズに関する特別総会において、加盟国は、特にHIV感染を助長する要因としての注射による薬物使用に取り組む政策とプログラムを確立しました。今年の国際デーにあたり、これらの約束を守り、薬物のない世界に向けて協力してゆくことを決意しようではありませんか。そうすることにより、私たちはまた、2000年9月のミレニアム・サミットで世界の指導者が再確認したもうひとつの約束、すなわち、2025年までにHIV/エイズの蔓延を食い止め、これを逆転させるという目標の実現に向けても、大きな貢献を行うことができるでしょう。
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SG/SM/8278
OBV/279
SOC/NAR/845