砂漠化および干ばつと闘う世界デー(6月17日)に寄せる
コフィー・アナン国連事務総長メッセージ
プレスリリース 02/051-J 2002年06月17日
砂漠化と干ばつは、経済、環境および社会・政治への大きな影響を伴い、全世界的な脅威となっています。
毎年、砂漠化、土壌劣化および農業生産性の低下により、420億ドルの所得と600万ヘクタールの生産的農地が失われていると見られるほか、その生計を主として土地に依存している1億3,500万の人々は、故郷を去らねばならない危機に直面しています。
その影響は、あらゆる大陸に及んでいます。アフリカでは、砂漠化を食い止めることができなければ、今後20年間で、およそ6,000万人がサヘル地域から、より住みやすい場所へと移動すると見られます。北東アジアでは、砂塵と砂嵐が人間の居住地に降り積もり、学校や空港が閉鎖を余儀なくされています。米州では、干ばつと砂嵐に驚いた農民たちが、1930年代の「黄塵地帯」の再来を危惧しています。そして南欧では、かつて緑の草木が生い茂っていた土地が、不毛の荒地と化しています。
8年前のきょう採択された国連砂漠化防止条約(UNCCD)は、環境と開発の問題を統合することにより、生態系と資源の保護だけでなく、貧困の軽減についても鍵を握る条約となっています。しかし、安定した資金源がないことから、その実施は妨げられてきました。私は先進国に対し、同条約の採択の際にも、10年前のリオデジャネイロにおける「地球サミット」でも自らが行った公約を実現するよう強く求めます。その中には、同条約の金融メカニズムの役割を果たすべき地球環境ファシリティー(国連開発計画、国連環境計画および世界銀行の連合体)を通じた資金援助の提供が含まれます。
砂漠化は、開催まで3カ月足らずとなった持続可能な開発に関する世界サミットでも、最重要議題のひとつとなるでしょう。私たちは土壌劣化を食い止め、より責任を持って土地管理を行う必要があります。特にアフリカにおいては、農業生産性の低下を逆転させ、人口増加に見合う食糧生産の増大を図る必要があります。すなわち、私たちは、世界の持続可能な開発の追求に鍵を握る要素として、国連砂漠化防止条約を履行する必要があるのです。