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「世界水の日」(3月22日)に寄せる
コフィー・アナン国連事務総長メッセージ
~世界の水問題を「協力の媒介」に~

プレスリリース 02/023-J 2002年03月20日

 今年の世界水の日を祝うテーマ「開発のための水」は、生命の維持と環境の保全に水が果たす根本的な役割を反映するものです。

 11億人が安全な飲み水を利用できず、25億人が適切な衛生設備を利用できないと見られています。また、水関連の病気で死亡する人々は毎年500万人を超えると推計されていますが、この数は、年間平均の戦死者数の10倍に上ります。水は無限にただで利用できると考えられることがあまりにも多いのですが、水が十分あるいは潤沢に供給されている場所でさえ、水質汚濁や需要増大による危険性は高まっています。2025年までに、世界人口の3分の2は、中程度あるいは深刻な水不足を抱える国々で暮らす可能性が高いのです。各国の熾烈な水資源獲得競争により、水の問題が暴力的な紛争の火種を内包しているとの恐怖が生じています。

 しかし、私たちの世界が直面する水問題は、必ずしも緊張の原因というばかりでなく、協力の媒介となれる可能性も秘めています。世界の大河川のうち、3分の2はいくつかの国々によって共有されています。国境を越えて流れる河川は300本以上あります。集水域・氾濫原管理のノウハウ、あるいは、効率的灌漑の経験を有する国々が、その知識と技術を他国と共有するケースが増えています。多くの国々から様々な分野の科学者が、脅威を評価するとともに、農業生産性において大いに必要とされている「青の革命」を実現することを期待して、その努力を結集させています。国連システムの諸機関も、多種多様な活動プロジェクトに加え、第1回「世界水開発報告」の作成を行っているところです。

 今年、各国首脳、非政府組織、民間セクター代表その他多くの人々が、ヨハネスブルクでの「持続可能な開発に関する世界サミット」で一堂に会する予定です。国連総会は来年を「国際淡水年」と宣言しました。こうした機会を捉え、淡水へのアクセスに関する「ミレニアム開発目標」を達成するための決定的な行動の道のりを描く責任は、あらゆる人々にあります。ともに手を携えれば、私たちは、安全で持続可能な水の将来を手にできるのです。

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SG/SM/8139

OBV/262