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国際女性の日(3月8日)事務総長メッセージ

プレスリリース 15-018-J 2015年03月06日

世界が女性の人権に関する画期的な会議を開催した20年前、旧ユーゴスラビアでの破壊的な紛争は当然ながら、そこで起きていたレイプその他の民間人に対する戦争犯罪への関心を高めました。その20年後、わずか7歳の少女たちまでもが、暴力的過激派によって標的とされるだけでなく、武器としても利用されるという事態が生じる中で、国際会議に対する失望感が募ったとしても、不思議ではありません。ジェンダーに基づく暴力を終わらせるという中心的目標をはじめ、全面的なジェンダー平等を達成するには、まだ長い道のりがあります。とはいえ、この20年間の進歩は、1995年北京女性会議の永続的な価値を証明しています。

「北京宣言および行動計画」の採択以来、これまでになく多くの女児が、これまでになく多くの教育を受けられるようになりました。出産時に命を失う女性の数は、ほぼ半減しました。企業や政府、グローバルな組織でリーダーとなる女性も増えています。私はこれらの前進を歓迎します。しかし同時に、私たちは今年の「国際女性の日」にあたり、これまでの前進があまりにも遅く、不均等であること、そして、あらゆる場所で前進を加速するためには、はるかに本格的な取り組みが必要であることを認識せざるをえません。

世界は、女性や女児を標的とする暴力的過激派の攻撃に、一丸となって対処しなければなりません。ナイジェリアやソマリアからシリア、イラクに至るまで、しばしば民族性や宗教性を理由に、女性たちの身体は特定的かつ組織的な戦略を遂行する兵士たちの戦いの道具へと化しています。教育と基本的サービスを受ける権利を行使しようとして攻撃されたり、レイプを受け、性的奴隷にされたり、戦利品として戦闘員に与えられたり、過激派集団間の人身取引ネットワークで売買されたりする女性が後を絶ちません。医師、看護師その他、自らの職責を果たそうとして殺害された女性もいます。こうした残虐行為に勇気をもって立ち向かう女性の人権擁護者は、その理念のために生命の危険に晒され、場合によっては命を失っています。

私たちは、女性の人権に対するこの全面的な攻撃に反対するという立場を、全世界で明確にしなければなりません。国際社会はこの憤りを、人道支援や心理社会的サービス、生活支援、実行犯を裁きにかけるための取り組みをはじめ、有意義な行動へと転換する必要があります。女性と女児は、一番先に攻撃の標的とされることが多いため、その権利を私たちの戦略の中心に置くことで、深刻化の一途をたどるこの重大な課題に取り組まねばなりません。エンパワーメントを受けた女性と女児は、紛争後の持続可能な開発の担い手として、最もふさわしい存在です。女性は成長の最善の牽引役であり、和解の最善の担い手であるとともに、若者の過激化を防ぎ、暴力の連鎖を断つための最善の緩衝材でもあります。

平和な社会においてさえ、あまりにも多くの女児と女性が依然として、家庭内暴力や女性器切除をはじめ、個人にトラウマを与え、社会全体に損害を及ぼす暴力の標的とされています。差別は今も、突き崩すべき厚い壁として立ちはだかっています。私たちは政治、ビジネスその他の領域で機会を拡大する必要があります。特に男性の考え方を変え、男性自身が積極的な変化の媒介となるよう働きかけることが必要です。そして私たちは、ジェンダー平等への投資が経済的な前進、社会的、政治的な包摂などの利益をもたらし、それが安定と人間の尊厳を育むのだという確かな理解に基づき、私たちの決意に見合う資源を投入しなければなりません。

今年は、女性の人権という理念を前進させるうえで、極めて重要な年となります。国際社会は、ミレニアム開発目標(MDGs)を土台に、次世代のための政策と社会的投資を決定づける新たな持続可能な開発アジェンダの確立に、必死で取り組んでいるところです。真の変革をもたらすためには、ポスト2015年開発アジェンダで、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントを優先課題とせねばなりません。人類の50%が潜在能力をフルに発揮できないままで、世界が目標を100%達成することなどありえません。女性の能力を引き出せて初めて、私たちはすべての人の未来を確保できるのです。

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