コフィー・アナン国連事務総長
エイズとの闘いに対して大規模な力の結集を要請
プレスリリース 01/39-J-E 2001年05月08日
エイズに関するアフリカ統一機構(OAU)サミットにおける演説で
主要な優先課題と資金供給の目標を設定
コフィー・アナン国連事務総長は、4月26日、ナイジェリアのアブジャで開かれた「HIV/エイズ、結核、およびその他の関連感染症に関するアフリカ・サミット」における声明の中で、HIV/エイズに対する新しい大掛かりな世界的キャンペーンと、新たな資金源の大規模な動員を求めた。
事務総長は、アフリカ各国の指導者たちに向けて、これから相当の期間、エイズに対する実効ある世界的キャンペーンを行うために年間70億ドルから100億ドルの「軍資金」が必要であると語り、HIV/エイズおよびその他の感染症との闘いに備えた新しい世界基金を創設するよう提案した。現在、開発途上国全体でのエイズ関連の支出は、年間でおよそ10億ドルである。
事務総長は、拠出国に対し、2001年6月25-27日にニューヨークで開かれるHIV/エイズに関する国連特別総会までに、この大規模な資金調達を達成するという確実な約束をするよう求めた。この特別総会において、各国政府は、HIV/エイズと闘うための政治宣言にコミットすることが期待されている。
声明の中で、事務総長は、アフリカの窮状は世界の人々の注目を集め、その良心を揺さぶっており、アフリカはもはや自分たちだけでエイズ禍に立ち向かうよう放置されているわけではないと述べた。アフリカでは、およそ2,530万の人々がHIVを抱えて生きている。これは世界のおとなと子どもの感染者の70%近くに当たる。
エイズとの闘いを自分の「個人的な優先事項」とよぶ事務総長は、世界的なキャンペーンにむけて、以下の5つの優先分野の概要を説明した。
- エイズのさらなる拡大の防止: 特に、若い人々に自分たちの身を守る知識と力を与えることによって拡大を防ぐ。大規模な意識向上キャンペーンを実施し、任意のカウンセリング、検査、および必要な場合にコンドームを入手できるようにしなければならない。HIV/エイズに感染している3,600万人のおよそ3分の1は15才から24才であり、昨年感染した500万人の半数は25才以下である。
- HIVの母子感染の削減: 事務総長は、母子感染を「最も残酷で最も不条理な感染」とよんでいる。すべての母親がHIV陽性かどうかを知ることができなければならず、陽性の場合には、短期の抗レトロウィルス治療を受けることができるようにしなければならない。この治療は母子感染を半減させることが明らかになっている。2000年だけで、世界中でおよそ60万人の子どもがHIVに感染したが、その大部分が母子感染なのである。
- ケアと治療をすべての人の手に: 事務総長は、最近行われた世界の最大手製薬会社6社の代表との話し合いに基づき、これらの製薬会社が開発途上国において大幅に低い価格で救命薬品を販売する意向であることに言及した。およそ3,600万人の世界のHIV感染者のうち、95%は開発途上国に住んでいる。しかし、サハラ以南のアフリカの人々で現在抗レトロウィルス治療を受けているのは2万5千人に満たない。ただし、包括的なHIV医療には、任意のカウンセリングと検査、家庭および地域社会での介護、そして日和見感染に対する単純な治療が含まれるが、手頃な値段で入手できるHIV薬は、このような総合的治療の一部にすぎない。
- 科学的な前進の実現: 科学関連予算の中で、HIV/エイズの治療法とワクチンの発見がいっそう重視されなければならない。
- エイズによって最も困難な立場に陥っている人々、特に孤児の保護の必要性: 母親または両親をエイズでなくした約1,300万人の子どもたち--そのほとんどはサハラ以南のアフリカで暮らしている--に対して、援助を行わなければならない。
これら5つの目標を達成するために、アナン事務総長は、集まったアフリカの各国元首に対し、このキャンペーンでリーダーシップを取るよう要請した。特に、多くのアフリカ社会でエイズ問題を取り巻いている沈黙と羞恥という壁を打ち破ること、感染者に対する差別と汚名を取り除くこと、およびこの病気に対する国家予算をいっそう増加させることを求めた。さらに、地方のコミュニティおよびHIV/エイズを抱えて生きている人々がこの病気との闘いに関与しなければならず、また、女性と子どもを感染から守るために女性のエンパワーメントが必要であると述べた。
事務総長は、政府や開発機関の予算の中で見逃されがちであるが、強力な医療制度を確立することが極めて重要であると述べた。よりよい医療体制が整わなければ、安い抗レトロウィルス薬が益にならず、むしろ害になる可能性がある。命に関わるような副作用に注意が向けられなかったり、治療が中断されてHIVウィルスが薬に耐性をもつようになったりすることが考えられるからである。
アフリカ統一機構が招集したこのサミットは、4月26日から27日にかけてナイジェリアのアブジャで開催された。これに先立ち、4月24日と25日には閣僚会議と専門家会議が行われた。このサミットには、アフリカの指導者たちに加え、各国連機関の長、民間部門の幹部、そして実際にエイズと闘っている各種の労働者や専門家も参加した。
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