世界水の日(3月22日)事務総長メッセージ
プレスリリース 15-022-J 2015年03月20日
今年9月の新たなポスト2015持続可能な開発アジェンダの採択に向け、国連が準備を進める中で、今年の「世界水の日」は、水が果たす不可欠かつ相互連関的な役割をテーマに掲げています。私たちは、水を頼りに公衆衛生や公平な進歩の実現を図っています。また、水は食料やエネルギーの安定確保に欠かせないだけでなく、産業の機能も支えています。
気候変動の発現、農業や工業、都市による有限の水資源に対する需要の高まり、そして多くの地域での汚染の悪化は、水危機を加速させています。これに取り組む方法は、国際的、地域的、そして世界的に、部門横断的で包括的な政策を採用すること以外にありません。
最も急を要する課題の中には、安全な飲み水と衛生施設へのアクセスが含まれます。2000年に採択されたミレニアム開発目標(MDGs)のもとで前進が見えたとはいえ、世界人口の10人に1人を超える約7億5,000万人が、改良型の水道をまだ利用できていません。健康に対する弊害はもとより、水汲みという非生産的で、時には危険な役割に多くの時間を割かねばならない女性と子どもに対する影響は、特に大きくなっています。
衛生施設に関する統計データは、さらに深刻な状況を示しています。今でも約25億人が改良型衛生施設を利用できない状態で暮らしているほか、10億人が屋外排せつを強いられていることからも分かるとおり、衛生はMDGsの中でも最も進展の遅れた分野になっています。私たちがこの喫緊の課題に取り組まない限り、すべての人が尊厳、健康、豊かさを享受する世界は達成できません。
私たちの持続可能な未来は、気候変動によっても危険に晒されています。国連加盟国が今年12月のパリ会議での締結を目指し、有意義な普遍的気候協定に懸命に取り組んでいる理由も、ここにあります。今後数年間で温室効果ガスの排出量を大幅に削減しなければ、気候パターンの変動や、世界の大部分で水不足が生じるおそれなど、気候変動の最悪の影響を回避できません。
水に関連する多くの課題に取り組むためには、新しいアイデアやイノベーションに視野を広げながら、私たち全員が持続可能な未来に向けて必要とする解決策を共有するという姿勢のもと、緊迫感をもって協力しなければなりません。そうすれば私たちは、貧困を終わらせ、グローバルな豊かさと幸せを促進し、環境を保護するとともに、気候変動の脅威にも対処することができるはずです。
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