コフィー・アナン国連事務総長
「国際婦人デー」に寄せるメッセージ
2001年3月8日
プレスリリース 01/23-J 2001年03月05日
1976年3月8日、私たちが国連で最初の「国際婦人デー」を祝ってから、四半世紀が経過しました。この25年間を振り返ると、私たちには祝福すべき理由が多くあります。法律の改正から参加の拡大に至るまで、カイロ人口開発会議から北京行動綱領に至るまで、さらには経済的エンパワーメントから知的解放に至るまで、女性の地位向上については、大きな前進が見られました。
しかし、今年の国際婦人デーはまた、世界の女性の大半にとって、日常生活が引き続き困難で時には危険な闘争であるということを想起させるものでもあります。昨年は、依然として私たちの課題の中心に据えられ、かつ、達成からは程遠い状態にある男女平等、開発および平和という目標がより一層の脚光を浴びました。
昨年6月、「北京+5」国連特別総会は、北京綱領の実施について、いくつかの点で前進が見られる一方で、依然として大きな進展が達成できていない点も多いことを示しました。10月、国連安全保障理事会は女性、平和および安全に関する初めての公開討議を行い、これら課題のうちもっとも緊急を要するもののひとつを検討しました。
現代の紛争の悲劇的な特徴のひとつとして、女性と少女に対するその影響が不釣合いに増大していることがあげられます。女性と少女は紛争の発端を作ったわけでも、これを遂行しているわけでもないにもかかわらず、しばしば敵を辱め、社会全体の士気と抵抗力をくじく手段として、特定的に標的とされています。旧ユーゴスラビアとルワンダに関する国際刑事裁判所でも、また、国際刑事裁判所ローマ規程の採択においても、この嘆かわしいやり方の温床となっている不処罰の文化を終わらせるための措置が講じられました。私たちはこの作業をさらに発展させなければなりません。
なすべきことは、まだ、たくさんあります。安全保障理事会で採択された決議が明らかにしているとおり、私たちはいくつかの面で女性、平和および安全に関する問題に取り組まなくてはなりません。女性は武力紛争の最初の犠牲者となることが多い一方で、解決に向けた鍵を握る存在としても認識されなければなりません。女性が、全世界の和平プロセスにより実効的に参加できるよう今後も努力が必要です。
女性には特殊な技能と経験があり、彼女たちは全ての和平プロセスの段階において貢献できる、という認識が強まっています。紛争時において、女性はしばしば家庭、農地および村落の運営を引き受けています。女性は緊張状態の根源的原因を理解し、その地域や国において和平構想を支持する可能性がもっとも高い権力集団がどれかを知っています。女性は障壁や分裂を越えて協力し、意思疎通を行うことができるのです。
私たちはこの潜在能力をもっと活用しなければなりません。これら女性の経験が、国内でも国際舞台でも、あらゆるレベルで繰り返し上手く活かされるべきです。私たちは政府、NGO、地域の団体および民間セクターなど、すべての活動主体の間でパートナーシップを構築し、より多くの女性を交渉と意思決定の場に取り込まなければなりません。私たちは、紛争の予防と解決への女性の十分な参加が、21世紀における平和と安全の維持および促進に不可欠だという理解に基づき、行動しなければなりません。今年、2001年の国際婦人デーに際し、これをより平和的なミレニアム(千年紀)に向けた私たちの信条としようではありませんか。