「国際障害者デー(12月3日)」に寄せる
コフィー・アナン国連事務総長メッセージ
プレスリリース 00/113-J 2000年12月08日
すべての人が情報技術(IT)を利用できるようになることが
重要、と強調
国際障害者デーは、障害者の人々が社会に対してどれほど多くの、かつ、豊かな貢献をしているかを考える良い機会です。また、同時に、国際障害者デーは、障害者の人々がもっと社会に貢献できるようにしていくために、私たちにはいったい何ができるかを考える機会でもあります。知識を基礎として成り立っている私たちの社会において、今年の障害者デーほど、「すべての人に役立つ情報技術」というテーマが重要だったことはありません。
新世紀の幕開けとなる今年は、成長の加速、持続可能な開発の推進、貧困の根絶において情報技術が果たす役割が、国連の課題において頻繁にとりあげられました。これは、2000年の経済社会理事会の高位級会合におけるテーマともなりました。ミレニアム・サミットでは、世界の首脳たちが、「新しい技術、特に情報通信技術をすべての人が利用できるようになることを保証する」と宣言しました。
すでに1948年に、世界人権宣言は「すべての人が社会の文化生活に自由に参加する権利を持ち」また「科学の進歩とその恩恵を共有する権利を有している」と謳っています。開発をめざした幅広い人権面での取り組みの重要性は、現在では広く認識されています。この認識にもとづき、そして知識に基づく私たちの社会において、情報にアクセスする権利は不可欠の権利といえます。しかし、情報技術にアクセスできないことが原因で、世界の多くの人々が、社会生活や進歩への全面的かつ効果的な参加から排除されている状況が今なお続いています。
情報技術がすべての人によって利用できないのであれば、世界中の国や人々に力を与えることのできる情報のもつ潜在力が発揮されないことになります。技術と利用者の間に立ちはだかる障害は、技術的、心理的、物理的、そして資金的なものであれ、すべて取り払わなければなりません。
この新千年紀の幕開けに、私たちは国際社会が学ぶべき様々な国や地域レベルでの取り組みを目にしました。東南アジア諸国連合(ASEAN)およびタイ政府は、インターネットへのアクセスと障害者に関するセミナーを開催しました。メキシコ政府とNGOは、共同で、自らの社会の発展において、アクセス可能な情報技術の選択肢と障害者の参加のための全国規模の協議会を発足させました。
これらのイニシアチブは、情報技術の利用が私たちの時代にとって重要な課題であるという理解が深まっており、その解決のために様々な工夫がなされていることを示すものです。今日こそ、これらのイニシアチブから学ぶことを決意しようではありませんか。この新千年紀最初の国際障害者デーに、世界のすべての人々に役立つ情報技術を実現するため、新しい方法を模索しようではありませんか。
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(SG/SM7643,OBV/181)