「世界エイズ・デー(12月1日)」に寄せるアナン国連事務総長メッセージ
プレスリリース 00/108-J 2000年11月24日
エイズは「対岸の火事」ではない、
エイズを抱えながら生きる人々への支援が必要
新たなミレニアムを迎えるにあたって、私たちが暮らしてみたいと思う理想の世界や、次の子孫に残しておきたい大切な遺産について深く考えるようになりました。こうしたなかで、エイズほど私たちが考えなければならない重要な問題は他にないでしょう。現在、世界的に蔓延するHIV/エイズという病を、私たちの子どもや孫の世代にまで引き継がせることになるのでしょうか。それとも今、この病の進行を食い止めるための断固たる手段が講じられるのでしょうか。
ここ数年、HIV/エイズの爆発的な流行を見た地域があります。一方、流行が安定化の徴候を見せている地域もあります。__もっともそれは、驚くほど多くの人がこの病に感染した後のことですが。エイズを抑えることができると証明してみせた国も少なくありませんが、世界で最も富裕な国でさえ、そしてこの疫病を食い止めることにかなりの成功をおさめた国でさえ、常に病との新たな闘いを強いられています。
私たち一人ひとりの行動が、HIV/エイズの広がりを抑えることに貢献できます。今年は、HIV/エイズの感染に特に影響をもたらすと考えられる男性の役割に焦点を当ててみたいと思います。なぜなら、これまで以上により注意深く、リスクを減らし、エイズの問題に正面から取り組む必要があるからです。HIV/エイズは私たち自身の問題であることを理解しない限り、自分たちや他人を守ることはできないでしょう。それは一国の資源の割り当てを計画する指導者でも、妻と共に一家の将来設計を立てようとする夫でも、子どもの将来を考える親でも同じことです。
世界的な出来事からきわめて個人的な瞬間に至るまで、私たちはしっかりと目を開いてエイズと対決し、「対岸の火事」だと片付けてはいけません。エイズと闘うための社会的対策に積極的に取り組むことが大切です。HIV/エイズを抱えながら生きる人々に心を開き、連帯と支援の手を差し伸べることが必要です。
3ヵ月前に開催されたミレニアム・サミットで世界の指導者たちは、2015年までにHIV/エイズの広がりを食い止め、その蔓延する流れを押し止めることを決めました。さらに2001年6月、この決議をフォローアップをする上で先例を見ない機会を迎えることになります。国連総会はあらゆる側面からエイズ問題を検討する特別会議を召集し、エイズとの闘いにおいて調整された地球規模の誓約をより確かなものにします。それによって私たちは、未来の世代に対する責任に真正面から立ち向かい、この恐ろしい病の進行を食い止めるための断固たる行動をとることができるでしょう。
(SG/SM/7623, OBV/177, 14/11/00)