国際高齢者デー(10月1日)に寄せる
国連事務総長メッセージ
プレスリリース 00/102-J 2000年09月28日
今日、私たちの10人に1人は60歳以上です。2050年までに、この割合は5人に1人に増えると予想されています。私たち全員がグローバルな共同体として、この人口革命に対応することが新世紀における大きな挑戦のひとつとなります。
私たちがまずやるべきことは、1999年の「国際高齢者年」によって生じたはずみをさらに加速することです。高齢化に対する態度、考え方および政策は大きく方向転換されるべきです。「年齢」と「高齢化」という固定した否定的な考え方は、今日の世界では通用しません。私たちは、人間の寿命が延びたことで、高齢者が貴重な知識、経験および知恵を身につけていることを認識する必要があります。これらの資質は存分に活用される価値を持ちながら、疎外されたり、ないがしろにされたりすることが余りにも多くなっています。
今日の若年世代はこの人口変革に重要な役割を担うことになります。私たちには、若い人たちが享受するであろう寿命の伸びを最大限に活かせるようにするため、健全な生活様式、柔軟性、そして、洞察力を社会に築く義務があります。また、既に高齢者を尊敬し、その力を引き出している社会から、何らかの教訓を学ぶこともできるでしょう。
政策レベルでは、高齢化の問題をグローバルな課題の周辺から中心へと移すことにより、公共政策が急速に高齢化する世界の経済的・社会的ニーズをより的確に反映するようにしなければなりません。開発途上国の人口は先進国よりも急速に高齢化しており、その影響に対処する時間はずっと短くなっています。一方、先進国では、人口の平均年齢が既に大きく上昇し、その影響への苦心の取組みが行われています。このように、高齢化のペースに違いが見られることから、異なる社会が助け合い、お互いの経験から学ぶことも可能となりましょう。
来年、私たちの関心は2002年にスペインで開催予定の「第2回世界高齢者会議」に向けられることになります。この機会に、態度を再検討し、政策を改め、21世紀に「すべての世代のための社会」を築くという私たちの誓約が再確認されなければなりません。
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(SG/SM/7560、OBV/161)