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「世界環境デー」(6月5日)に寄せて
コフィー・アナン国連事務総長メッセージ

プレスリリース 00/53 2000年06月05日

「容易な解決策」なし、政府に保全と管理へのコミットメントを要請

 私たちは今、新しい千年紀の幕開けを迎えながら、環境問題を身近に痛感しています。これらの問題は悪化している可能性さえあります。「地球サミット」の開催にもかかわらず、また「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」をはじめとするサクセス・ストーリーにもかかわらず、人類は地球環境の略奪を続けています。持続不可能な習慣は、私たちの日常生活に深く根を下ろしています。私たちは資源と生態系の保護を怠っています。特にエネルギーに関して、代替的な技術に十分な投資は行われていません。私たちは議論を続けることさえできずにいるのです。

 これは極めて憂慮すべき傾向です。私はこれを押し戻すため、4つの優先課題を提言します。

 第一に、私たちにはより大規模な公教育の努力が必要です。立ち向かう挑戦に対する私たちの理解は、驚くほど不足しています。企業も消費者も、その選択が重大な結果をもたらしうることを認識する必要があります。学校や市民社会が果たすべき役割は極めて重要です。

 第二に、政策立案における環境問題の地位を根本的に見直さなければなりません。環境を経済政策の主流によりよく統合しなければなりませんが、そのもっとも確実な方法は「緑の会計処理」です。

 第三に、政府は環境に関する合意を作り出すだけでなく、それを実施しなければなりません。例えば、各国政府は、環境を害するような活動への補助金をできるだけ削減することができます。政府はまた、市場が反応するような環境にやさしいインセンティブを考案することもできます。

 そして第四に、私たちには健全な科学的情報が必要です。これは実効的な政策にとっての唯一の根拠であるにもかかわらず、私たちの知識には大きな格差が存在し続けています。

 今日では想像できないような技術的な突破口によって、私たちが直面する環境問題のいくつかは将来解決されるかもしれません。しかし、これを頼りにして、従来どおりの活動を続けるとすれば、それは愚かなことです。今年の「世界環境デー」のテーマは、これを如実に物語っています。―「2000年は環境の千年紀の幕開けに当たります。今こそが行動の時なのです。」― 簡単な解決策は存在しないでしょう。厄介な生態系の危機も待ち構えています。しかし、新世紀のスタートは、人々も政府も、私たちすべてが環境の保全と管理という新たな倫理の遵守を誓う上で、またとない機会といえましょう。