コフィー・アナン事務総長メッセージ
「国際寛容の日」(11月16日)に寄せて
プレスリリース 99/198 1999年11月22日
~寛容を求める闘いは人間性を求める闘い~
この20世紀最後となる「国際寛容の日」に当たり、私は寛容と人権を求める闘いにその一生を捧げたすべての男性と女性に対し、敬意を表したいと思います。20世紀はこれまででもっとも血塗られた世紀となりましたが、そこでは、これまで差別を受けてきた集団および個人の権利尊重をはじめとして、顕著な進展も見られました。人類の歴史上、もっとも多くの場所、そしてもっとも多くの方法によって、人種差別、性差別および同性愛差別との戦いが繰り広げられ、これが打ち負かされてきたのです。
こうした進歩は私たちに希望と勇気を与えてくれますが、私たちはこれで満足してはいけません。寛容を求める闘いは人間性を求める闘いに他なりません。なぜなら、グローバル化と協力がますます顕著になりつつある世界に寛容の精神がなければ、将来それ自体が危険にさらされるからです。旅行や移住によって、異なる文化や人種と接する人々が多くなる中で、私たちを分けるものではなく、お互いを結び合うものを探し出し、これを尊んでいくことは、私たちの義務となっているのです。
新世紀を迎えるに当たり、国連は平和と進歩を求めるすべての努力の中心に、寛容を据えていく所存です。寛容は相違が根強く残る場所で対話を促進し、疑念が渦巻く場所で理解を醸成し、分裂があまりにも長い間、進歩を妨げてきた場所で協力を推進します。寛容は国連とその加盟国にとってだけの優先課題となるべきものではありません。私たちは個人としても、日常生活の中で寛容の精神を育むことができるのです。これを21世紀の私たちの目標としようではありませんか。