「国際薬物乱用・不正取引防止デー」(6月26日)に寄せて
1999年06月26日
コフィー・アナン国連事務総長メッセージ
事務総長、国際性を強める薬物乱用・密売への対策における国連の適性を主張
以下はコフィー・アナン事務総長が、6月26日の「国際薬物乱用・不正取引防止デー」に際し発表したメッセージ(非公式訳)である。
20世紀と「国連薬物乱用防止の10年」がともに終わりを迎えようとする中、私達は今年の「国際薬物乱用・不正取引防止デー」に当たり、この悲惨な災いとの闘いにおける確かな進展を誇ることができます。しかし、この闘いに勝利するためには、まだ長い道程が残されています。私達はこれまでの成果に満足したり、気を緩めたりすることはできないのです。
しばしばそうであるように、もっとも重大な突破口は、薬物問題に対する私達の認識の変化に求められます。この問題はもはや、解決不可能なものとして捉えられてはいません。私達は今、政治的な意志と必要な資金が動員できれば、解決が可能であることを認識しています。1年前の国連特別総会は、この突破口の証となりました。185カ国の政府は初めて、特に薬物問題への対策を目指した複数の国際文書を採択したのです。
さまざまなパートナーからの協力を受け、国連薬物統制計画(UNDCP)は、必要な情報、技術および資金を長期的に入手可能とするための新たなイニシアチブを発足させました。その結果、危険な薬物の需要と供給は大幅に減少しました。事実、昨年の今頃に合意された目標の一部は、期限前に達成される可能性があります。
それでも、世界人口の3%から4%の人々が依然として不法薬物を常習していること、薬物の影響を受ける国の数が増えていること、薬物注射は引き続き、エイズ蔓延の主な原因の一つであり、世界中で破壊的な帰結をもたらしていること、いくつかの新しい薬物の消費も、若者を中心にますます広がっていること、そして、犯罪組織が何のためらいもなく、グローバリゼーションと運輸・通信分野の技術進歩を悪用していることは、紛れもない事実なのです。
薬物は依然として、あまりにも多くの人々の命を暗闇に陥れ、実際に破滅させています。薬物乱用対策に関連するコストは、先進国、途上国を問わず、多くの国々の社会インフラにとって大きな負担となっています。貴重な人材と資金が、発展と繁栄に欠かせない生産的な活動から取り上げられているのです。薬物密売はまた、よき統治にとって最大の障害の一つである汚職をはびこらせ続けています。
私は今年の国際薬物乱用防止デーに当たり、私達の繰り広げている闘いが死活的な重要性を持つことを再び強調したいと思います。悲惨なことに文字どおり、薬物問題がしばしば生死の問題であることは、誰の目にも明らかなのです。
薬物の乱用と密売の及ぼす地球的な影響とその国際的な性質から、国連はその対策にとって、もっとも適した存在といえます。私達は、薬物乱用という惨禍に終止符を打つ決意を固めた個人、家族、コミュニティー、そして国家の努力に、引き続き協力していきます。