「世界電気通信の日」(5月17日)に寄せて
1999年05月17日
コフィー・アナン国連事務総長メッセージ
20世紀も最後となる今年、「世界電気通信の日」は特別な意義を持っています。なぜなら、通信革命は今世紀でもっとも重要な現象の一つであったと言っても、決して過言ではないからです。私達はまた、この革命が次世紀の世界をも変容させ続けることを、確信を持って予言できます。
今年のテーマは電子商取引ですが、そのメッセージは明快です。電子通信メディアが21世紀における世界市場へのアクセスの鍵を握ることになるため、私達は何としても「電子的疎外」を回避しなければならないのです。これは経済的疎外の新たな形態であるとも言え、一部の集団、国家、さらには地域全体にとっては、開発への道を疎外する可能性を秘めています。
この落とし穴を避けるために、私達はもちろん、必要な基盤を整備しなければなりません。しかし、それよりも重要なのは、あらゆる人々が必要な訓練を受ける機会を得られるようにすることです。今後、電子技術を使いこなせないことは、誰にとっても深刻なハンディキャップとなるでしょう。それを避けるためにも、技術協力の果たす役割はきわめて重要です。
依然として多くの人々が経験している深刻な貧困と、全世界で未だに見られる非識字という「従来型」のハンディキャップは、明らかにこの将来のビジョンと全く相容れない現象です。しかし、これによって諦めの念を抱くのではなく、私達はむしろ贅沢としてではなく、開発と統合に不可欠な原動力として、通信手段へのアクセスを推進していくべきでしょう。
政府、企業、国際機関および非政府組織は一致団結して、通信の権利を21世紀における万人の基本的権利としていかなければなりません。国際電気通信連合 (ITU)はすでに、この方向で決意ある努力を行っています。今年の世界電気通信の日は、これに対する支援を私達すべてが表明すべき時なのです。