「国際家族デー」(5月15日)に寄せて
1999年05月15日
コフィー・アナン国連事務総長メッセージ
以下は「国際家族デー」(5月15日)に寄せられたコフィー・アナン国連事務総長のメッセージの非公式訳である。
今年の国際家族デーのテーマは、「あらゆる世代のための家族」です。
国際高齢者年の一環となる今年の国際家族デーは、家族が多くの形態を取りうることを私達に想起させるものです。社会が恒常的に、文化的、政治的および社会的変革を遂げていく中で、家族の多様化も進んでいます。世界人権宣言にも盛り込まれているとおり、家族を保護する義務は、社会と国家に対して、この多様性を承認し、尊重することを要求しています。国家と社会には、家族がどのような人生の選択を行おうとも、その家族全員の福祉と尊厳を確保する手助けを行う義務があるのです。
「あらゆる世代のための家族」というテーマは、世代間の連帯の重要性に焦点を当てるものです。それはすなわち、あらゆる年齢の人々が人生のどの段階でも、家族による支援を頼りにできることに他なりません。高齢者は家族環境における感情的、身体的手助けを必要とする一方で、自らの経験、知恵、そして時間を生かして、家族をはるかに豊かにすることができます。
今年の国際家族デーに際して、貧困、戦争あるいはAIDSの被害に苦しむ家族に、特別な注意を向けようではありませんか。もっとも基本的な機能を果たすことにも四苦八苦しているこれらの家族は、私達の援助を必要とし、また、これを受けなければなりません。これらの人々の基本的な権利が危機に瀕しており、それは人類という家族全体の危機にもつながるのです。
過去10年間に国連の傘下で開かれた主要な会議を通じ、家族の支援と保護は国際社会での優先的課題となってきました。私達は今日、いかなる社会の発展にも、いかなる人々の未来にも不可欠な家族というかけがえのない制度を守る決意を新たにしようではありませんか。