最近の難民と移住者の悲劇に関する 潘基文(パン・ギムン)国連事務総長声明(ニューヨーク、2015年8月28日)
プレスリリース 15-078-J 2015年09月03日
私は地中海とヨーロッパで最近、多くの難民と移住者の命が失われたことに、恐怖と悲しみを感じています。
昨日も、オーストリアのハンガリー国境付近で乗り捨てられたトラックの中から、70人以上の遺体が見つかるという、悲惨な事件があったばかりです。報告によれば、犠牲者の多くはシリアの庇護希望者で、中には子供も含まれていました。
この数日間で、さらに数百人の難民や移住者が危険な船旅の途中で溺死したというニュースが聞かれました。
私は今年、地中海での捜索・救命活動を視察しました。数万人の命を救ったヨーロッパ諸国による協調的な、賞賛に値する捜索・救命活動にもかかわらず、地中海は難民や移住者にとって、依然として死の落とし穴となっています。
こうして繰り返される悲劇は、アンダマン海から地中海、さらにはヨーロッパの高速道路に至るまで、幅広く犯罪行為を働く密入国請負業者や人身売買者の冷酷さを浮き彫りにしています。それはまた、保護や新しい生活を求める人々が置かれた絶望的状況も明らかにしています。
このように困難で危険な旅に出る人々の大多数は、シリアやイラク、アフガニスタンなどの国々を逃れた難民です。国際法は、保護や庇護を受ける難民の権利を定めており、各国も古くからこれを認めてきました。国は庇護申請を検討する際、宗教その他のアイデンティティに基づく区別を行うこともできなければ、迫害または攻撃を受ける恐れに十分な根拠がある場合、逃れてきた場所に難民を強制送還することもできません。これは単に国際法上の問題ではなく、私たちの人間としての義務でもあるのです。
私たちが共有する責任と義務を果たすために立ち上がったリーダーとコミュニティに対し、私は賛辞を送ります。しかし、それよりもはるかに大きな取り組みが必要とされています。私は関係するすべての政府に対し、包括的な対応を行い、安全で合法的な移住の手段を広げるとともに、人道と共感、そして国際的な義務に従い行動するよう訴えます。
また、夥しい数の難民や移住者は、終わりのない紛争、深刻な人権侵害、明らかな政府の破綻、厳しい弾圧といった、より根深い問題の兆候であるということも、忘れてはなりません。例えば、シリア内戦の影響は、ヨーロッパ中央部の道端に、その姿を現したばかりです。
国際社会は単に責任を果たすだけでなく、人々に避難を余儀なくさせるような紛争その他の問題の解決にも、さらに大きな決意を持って臨まなければなりません。さもなければ、現時点で1日4万人を超える避難民の数は、今後も増加の一途をたどることになるでしょう。
この人間の悲劇に取り組むためには、断固とした集団的な政治対応が必要です。それは数字上の危機ではなく、連帯の危機だからです。
私は来月、総会の開会のためにニューヨークの国連本部に参集する世界のリーダーが、優先課題としてこの問題に集中して取り組むことに心を強くしています。私は9月30日、この世界的な懸案に関する特別会合を開催します。
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