国際人種差別撤廃デー(3月21日)事務総長メッセージ
プレスリリース 16-027-J 2016年03月23日
「人種主義、人種差別、排外主義および関連の不寛容に反対する世界会議」が南アフリカのダーバンで開かれてから15年の間に、世界が権利の平等と差別禁止の確保に向け、長足の進歩を遂げたことは間違いありません。加盟国は新たな法律やセーフガードを採択するとともに、人権の推進と保護を専門とする新たな機関を設けています。人種主義に取り組む全世界の市民社会団体は、その動きを活発化させ、発言力を増しています。
それでも、私たちの取り組みは十分ではありません。不寛容や人種主義的なものの見方、憎悪を動機とする暴力はいま再び、広がりを見せています。人種による選別と一定のコミュニティーに対する暴力も増大しています。経済的な苦難や政治的な日和見主義は、少数者に対する敵意を増大させるきっかけとなっていますが、これは難民や移住者、そして特にムスリムの人々を対象とする敵意や攻撃、暴力として、最も直接的に表れています。
極右政党は、不和や危険な虚構を作り出す温床となっています。かつては中道であった政党がタカ派的性格を強め、かつては穏健派であった国々でも、外国人排斥のムードが強まっている中で、これまで慎重な意見を述べてきた人々でさえ、不安を利用している状況は、前世紀の暗黒の時代を彷彿とさせます。
これらはいずれも、社会的な亀裂や不安、紛争のリスクを高めます。今の激動の時代に、私たちはすべての人の権利と尊厳、そして多様性と多元主義を求めて立ち上がらなければなりません。ユダヤやムスリムに対する偏見をはじめ、さまざまな憎悪の形態に反対する声を上げねばなりません。少数者コミュニティーに対する攻撃は、全体に対する攻撃だからです。
「ダーバン宣言および行動計画」は今でも、国際的、地域的、国内的な人種主義対策に関する最も包括的な枠組みとなっています。それでも私は、このような幅広い合意を可能にした集団的な決意が、政治的なご都合主義によって損なわれているのではないかとの懸念を抱いています。
国際社会はダーバンで、いかなる国も人種主義と無縁であると主張できないことを認識しました。それは今でも変わっていません。私たちは何よりも、人種差別の数限りない被害者のことを真っ先に念頭に置かねばなりません。私たちはダーバンでの合意を実行に移すことにより、最も深く傷ついている人々だけでなく、人類全体を元気づけることができるのです。力を合わせて、すべての人のための尊厳、正義、そして開発を確保していこうではありませんか。
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