国際生物多様性の日(5月22日)事務総長メッセージ
プレスリリース 16-043-J 2016年05月21日
生物多様性と、これを土台とする生態系サービスは、地球上の生物の基盤であると同時に、あらゆる場所で暮らす人々の生計と福祉を支えています。生物多様性を守り、これ以上の損失を防ぐことは、私たちに共有の未来に欠かせない投資です。
生物多様性は「持続可能な開発のための2030アジェンダ」でも、重要な分野横断的課題となっています。目標15は、生物多様性の損失を食い止めることの重要性を明確に認識しているのに加え、その他の目標も、貧困を根絶し、食料と淡水を提供し、都市生活を改善するためには生物多様性が重要であることを認識しています。私たちは生物多様性のメインストリーミング化を進めるとともに、それぞれの社会の生物多様性に対する評価と管理のやり方を変えていかねばなりません。
数多くの誓約にもかかわらず、生物多様性の損失はすべての地域で加速を続けています。2020年の期限までに生物多様性に関する「愛知目標」を達成できる目途がついている国は、全体の15%にすぎません。しかも、農林水産業をはじめ、生物多様性に依存すると同時に、これに影響を与える部門が拡大することが予測されるため、今後数十年間の生物多様性の損失に歯止めをかけることは、困難な課題となるでしょう。
こうした動きを逆転させるためには、国連の加盟国と諸機関から市民社会、学術界、企業に至るまで、すべての部門とステークホルダーによる行動が必要となります。私たちはよりよい研究を行い、生物多様性が社会的、経済的目標の達成に不可欠だという証拠に基づき行動せねばなりません。
天然資源の責任ある使用は、持続可能な開発に欠かせません。生物多様性のメインストリーミング化を行えば、開発ニーズへの取り組みと環境保護が相互に支え合うことを確保できるでしょう。
今年の「国際生物多様性の日」にあたり、私はすべての政府とステークホルダーに対し、現在と将来の世代の利益となるよう、地球上の生物の多様性を保全し、持続可能な形で管理することを強く訴えます。生物多様性の保全は、私たち相互の、そして私たちを育む地球との約束になくてはならない要素なのです。
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