紛争における性的暴力根絶のための国際デー(6月19日)事務総長メッセージ
プレスリリース 16-053-J 2016年06月17日
世界は依然として、紛争下に起きる恐ろしい性的暴力を目の当たりにしています。女性や女児、男児、男性がいずれも被害者となるこの惨劇を免れている地域はありません。
その一方で、こうした犯罪への取り組みにおいては、明らかな前進と、これまでにない政治的な勢いも見られています。
性的暴力は、社会組織を切り裂き、コミュニティーを支配、威嚇し、人々を家から追い出すために用いられる意図的な戦略として、広く認識されるようになりました。また、当然のことながら、国際の平和と安全に対する脅威、国際人道・人権法の重大な違反、そして、紛争終結後の和解と経済開発に対する大きな障害ともみなされています。
政治的・軍事的指導者を被告とする画期的な裁判は、戦争手段としての性的暴力が処罰されない時代は終わったことを立証しています。私はきょう、ケア提供者や医師、人権擁護者をはじめ、この闘いの最前線に立ち、変化を求めている数千の人々に敬意を表します。
しかし、私たちはまだ深刻な課題に直面しています。
性的暴力がテロ戦術として用いられていることは、極めて気掛かりな要素です。ダーイシュ、ボコ・ハラムをはじめとする過激派集団は、戦闘員を引き寄せ、定着させるとともに、収入を得るための手段として、性的暴力を用いています。
拉致された女性、男性、女児、男児はいずれも、残虐な身体的、性的暴行、児童婚や強制結婚、大規模な性的奴隷制を通じ、最悪のトラウマを被っています。
ナイジェリアのチボクで起きた200人を超える女生徒の拉致、そして中東で続く過激派集団による強制結婚や性的奴隷制の被害者となった女性と女児の悲劇は、テロ戦術としての性的暴力が最も恐ろしい形で利用された2つの例といえます。私は、捕らわれた人々全員の即時釈放に加え、帰還してからも社会的な孤立や抑うつに苦しむことがある人々に対するケアと支援を求めます。
子どもを抱えた女性や少女には、医療面、心理社会面で専門的な支援が必要なこともありますが、その支援の対象は、社会から完全に拒絶されかねない彼女たちの子どもたち自身にも広げなければなりません。
こうした女性や子どもたちが受けている恥辱や社会的不名誉は、残忍な暴力の実行犯にこそ向けられるべきです。
私たちは、これまであまりにも長い間、戦利品とみなされてきた女性や女児、男性、男児を擁護するために、声を上げねばならないのです。
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