リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックにあたり、 オリンピック停戦を呼びかける事務総長メッセージ (2016年7月29日)
プレスリリース 16-067-J 2016年08月03日
私はリオデジャネイロで開催される2016年オリンピック・パラリンピック大会期間中、「オリンピック停戦」として、全世界での戦闘行為の停止を求めます。
このような野心的ビジョンの実現は不可能なように見えるかもしれませんが、オリンピックの精神は、私たちにこの挑戦を受けて立つよう促しています。
オリンピックの目的は、人間の能力の新たな記録を打ち立てることにあります。つまり、オリンピックは全世界の個人と国々を、それまで考えられてきた可能性の限界に挑むよう鼓舞しているのです。
私は同様の決意をもって、競技場での選手たちのメダル獲得に向けた努力に負けないよう、戦場でも銃声を止める努力をすることを求めます。
戦闘が停止すれば、尊重、友情、連帯、平等という、オリンピックが標榜する価値観が、自ずと現れることでしょう。
今年のオリンピックはすでに、南米で初めて開催される大会として、歴史的な意味合いを帯びています。しかも国際オリンピック委員会は、難民チームの参加を認めるという史上初の決定を下し、自国から逃れることを余儀なくされた有能なアスリートたちに金メダルを目指すチャンスを与えています。
この決定によって、難民に持てる力を十分に発揮する機会を与えるだけでなく、彼らの苦難の根本的原因に対処するには、さらに多くの取り組みが必要であることを世界に改めて気づかせることになるでしょう。国を出る原因として紛争以上のものがないのと同様、連帯を示す優れた手段として「オリンピック停戦」を守る以上のものはないからです。
かつてオリンピックで金メダルを獲得し、国連ピース・メッセンジャーも務めた故モハメド・アリ氏は、世界の世論を衝き動かすスポーツの力を体現する人物でした。彼は「私がボクシングをしているのは、人々に感動を与えるためだ」と語ったことがあります。アリ氏は、チャンピオンが正義を守ることができることを示したのです。
アリ氏の範に倣って、すべての戦闘当事者に対し、第31回夏季オリンピック大会開催の7日前から、第15回夏季パラリンピック大会終了の7日後まで、戦いを止めることを強く求めようではありませんか。
オリンピック聖火の静けさで、銃声が止みますように。
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