2016年を締めくくる潘基文(パン・ギムン)事務総長の記者会見 (ニューヨーク、2016年12月16日)
プレスリリース 16-117-J 2016年12月21日
けさ、皆様にお会いできたことを嬉しく思います。毎年、この時期に私たちが顔を合わせるのは恒例となっていますが、今回は私の任期末での会見となります。
信じられないかもしれませんが、私はこの場でのやり取りがなくなることを寂しく思います。私たちはこれまでの10年間、この部屋で、この建物の会議場で、そして世界各地で、長い時間を共に過ごしてきました。皆様は国連ファミリーの一員なのです。私は皆様の強いコミットメントと協力、そして国連への貢献に感謝いたします。
しかし、皆様にはもっと重要な仕事があります。それは、私たちが前進を遂げている時にも、期待に応えられなかった時にも、私たちの活動を世界に知らせることです。私は皆様の使命に深く信頼を寄せています。私はこれまでも、皆様が世界を結び付け、国連と世界の人々をつなげていると申し上げてきました。そして、世界各地で政府がジャーナリストに嫌がらせを働き、報道の自由を弾圧した時には、皆様の支持者、そして擁護者になろうと努めてきました。報道の自由を求める闘いは、みんなの闘いだからです。
きょうはできるだけ質問の時間を確保するため、挨拶は簡単に済ませることにします。3点だけ指摘させてください。
第1に、シリアでの大虐殺は、依然として世界の良心にぽっかりと開いた穴になっています。
アレッポはいま、文字通り地獄と化しています。
私が3日前、安全保障理事会で発言したとおり、私たちはシリアの人々のために結束することができませんでした。思いやりや正義、そして、私たちが目にしてきた憎むべき犯罪の責任追及が伴わない限り、平和が勝利することはありません。
第2に、私は南スーダン情勢の悪化をつぶさに注視しています。
今週は戦闘の開始からちょうど3年目に当たります。南スーダンのリーダーたちは、国民の信頼を裏切り、和平合意を踏みにじりました。死者は数万人に上っています。
私の特別顧問であるアダマ・ディエン氏は直ちに、ジェノサイドの危険性を警告しました。私たちは、救命援助のためのアクセスを強く求めて続けています。私は安全保障理事会に対し、制裁措置を含め、より協調的な行動を取るよう強く訴えます。
第3に、私たちは引き続き、気候変動に関するパリ協定が集めているグローバルな勢いを支援していきます。
気候変動対策は雇用、成長、大気の浄化、そして健康の増進につながります。フォーチュン500企業のCEOから知事、市町村長に至るまで、全世界の各層のリーダーがこのことを理解しています。
気候変動に関するパリ協定は貴重な成果であり、私たちはこれを支え、育てなければなりません。後戻りはできないからです。
私は任期満了前に、もう1度だけ出張を予定しています。(米国・イリノイ州)カーボンデールの南イリノイ大学での講演と、スプリングフィールドのエイブラハム・リンカーン大統領図書館・博物館の訪問です。
米国の最高の精神を体現する原則と、国連の存在理由である原則は、リンカーン大統領が守り抜いた原則の延長線上にあると言えましょう。リンカーンは平等、統合、和解を求める勇敢な力でした。そして私たちはいま、まさにその精神を必要としているのです。
私の任期は、絶え間ない試練の10年となりました。しかし私は、一致団結した行動が百万単位の人々の暮らしを改善する様子も目にしました。
時に困難ではあろうとも、国際協力こそが、より平和で豊かな世界へと至る道であることに変わりはありません。
私は世界の新旧のリーダーに対し、21世紀のこの最も重要な事実を認識し、受け入れるよう、声を大にして訴え続けていきます。
最後に、私は国連のホスト国とホスト・シティーに対し、謝意を表明したいと思います。
私は昨日、ワシントンDCでオバマ大統領、バイデン副大統領、ライス国家安全保障問題担当大統領補佐官とお会いし、長年の厚い支持に感謝しました。私たちは全員、米国と国連の密接かつ生産的な関係の重要性を強調しました。
私は最近、デブラシオ・ニューヨーク市長とクリスティ・ニュージャージー州知事にもお会いしたほか、クオモ・ニューヨーク州知事とも近々お話しする予定です。国連はその本拠地であるニューヨークという大都市圏から、力をもらい続けているのです。
改めて、10年間にわたる皆様の友情に感謝します。そして、皆様のますますのご活躍をお祈りするとともに、皆様が国連との協力と関わり合いをさらに深め、常に世界と国連との橋渡し役を務めていただけることを期待しています。ありがとうございました。
では、最後に一言、皆様からの質問を喜んでお受けしたいと思います。ありがとうございました。
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