パレスチナ人民連帯国際デー(11月29日)事務総長メッセージ
プレスリリース 11-071-J 2011年11月29日
64年前の今日、国連総会は委任統治領の2国への分割を提案する決議181を採択しました。安全を確保されたイスラエルに隣接して平和に存在するというパレスチナ国家の樹立は、いまだ果たされていません。
この紛争を解決する必要性は、地域で起っている歴史的変化に伴い、ますます差し迫っています。私はイスラエル、パレスチナ両政府に対し、パレスチナとイスラエルの子どもたちにとって明るい未来につながる二国間合意に向けた解決策を模索するため、勇気と決意を示すよう求めます。その解決策は、1967年に始まった占領を終わらせ、安全保障上正当である懸念に対応するものでなければなりません。交渉により、エルサレムを2国家の首都とし、聖地としてすべての人々に受け入れられるようにするしくみを作る必要があります。また世界中にちらばった数百万のパレスチナ難民のためには、正当かつ合意に基づいた解決策を見出す必要があります。
この目標を達成するには多くの困難がありますが、この1年でパレスチナ自治政府が成し遂げた重要かつ歴史的な偉業について述べたいと思います。現在パレスチナ自治政府は、パレスチナ国家が設立された場合に備え、国家としての責任を引き受ける制度的準備ができています。このことは、9月に開催されたパレスチナ支援調整委員会の会議において国際社会の多数のメンバーにより確認されています。私はかかる目覚ましい成果を挙げたマフムード・アッバース大統領とサラーム・ファイヤード首相の功績を称えたいと思います。このような努力、そしてそれに対する支援を続けるべきです。
これに関連して、現在イスラエルが代理徴収している関税・税のパレスチナ自治政府への引き渡しを停止したことは、このような成果を弱体化させる恐れがあります。この歳入はただちに引き渡さなければなりません。
何よりも、政治的展望がきわめて重要です。私はイスラエルとパレスチナの交渉が進まない間に、両者の信頼が損なわれ続けている現状を深く憂慮しています。わずかな希望の光が見えるのは、中東和平4者協議(カルテット)との関わりからです。私は両者に対し、2012年末までに合意に達するという共通のコミットメントに基づき、国境と安全保障に関する真剣な提案を策定し、4者協議の積極的支援のもとで互いに直接話し合うよう呼びかけます。
両者には、挑発行為をやめさせ、意味のある交渉につながる環境を作る責任があります。最近イスラエルが東エルサレムとヨルダン川西岸地区における入植活動を活発化させていることは、大きな障害となっています。入植活動は国際法およびロードマップ違反であり、やめさせなければなりません。現場での一方的行動は、国際社会から受け入れられません。またパレスチナ自治政府も、状況の悪化を鎮静化させて現在の敵対的空気を改善する方法を模索し、交渉による解決方法の追求に直接関わる用意をする必要があります。
またパレスチナの人々には、パレスチナ解放機構のコミットメント、4者協議、およびアラブ和平イニシアティブの立場から、彼ら自身の分裂状態を克服するよう求めます。私はアッバース大統領が5月の大統領選挙および議会選挙の準備を行うための暫定政府設立に向け、絶え間ない努力を続けていることを知っています。ガザ地区およびヨルダン川西岸地区にパレスチナ国家を建設するためには、交渉による二国間解決の土台となるパレスチナの統一が不可欠です。
国連は今後もガザの人々を支援し、安全保障理事会(安保理)決議1860の全内容を施行するため全力を尽くす決意です。私は封鎖を緩和しようとするイスラエルの取り組みを評価しています。人と物の移動を厳しく制限し、ガザの経済回復と再建を支援する国連の能力を損なう措置が今でも数多く残っていますが、これを撤廃するよう求めます。
またこの機会に、イスラエルにロケット弾を撃ち込み、武器の密輸を続けるガザの人たちには、このような行為が容認できないのみならず、パレスチナの利益にも完全に反するものであることを伝えたいと思います。ガザからイスラエルに向けたロケット弾攻撃を停止し、またイスラエルには最大の自制を働かせることを求めます。両者とも国際人道法を冷静に順守し、全面的に尊重しなければなりません。
私は最近の捕虜交換により、数百人のパレスチナ人捕虜と1名のイスラエル人兵士が解放されたことを歓迎します。この重要な人道的前進に続き、平穏を確立し、ガザ封鎖を終わらせるためのさらなる対策が取られるべきです。
正式な国家として認められるまで多くの困難が立ちはだかる中で、パレスチナ自治政府は国連加盟を申請しました。これは加盟国が決定すべき問題です。この問題についてどのような見方をするにせよ、国境、安全保障、エルサレム、および難民を含むすべての最終地位問題に関する交渉に基づいた和平合意という究極目標を見失ってはなりません。
今日の国際デーにあたり、連帯意識を積極的な行動に移そうとする私たちの決意を再確認しようではありませんか。国際社会は歴史的な和平合意に向けて状況を導くために助力すべきです。不信を克服できなければ、未来のパレスチナとイスラエルの人々に紛争と苦悩の日々を強いるだけになります。このような非運を避けるには、安保理決議242、338、1397、1515および1850、これまでの合意、マドリード枠組み、ロードマップ、およびアラブ和平イニシアティブに基づく正当で恒久的な中東和平が不可欠です。私もできる限りの力を尽くし、この取り組みを続けていくことを誓います。
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