国際移住者デー(12月18日)事務総長メッセージ
プレスリリース 11-076-J 2011年12月19日
移住はすべての国々で起きています。その影響にまつわる神話や誤解も、同じく各所で見られます。
移住については、多くの間違った仮説が立てられています。
移住者は重荷になる、という説がその一つです。ところが、移住者は実際のところ、受入国に大きく貢献しています。労働者として、技能をもたらします。起業家として、雇用を生み出します。投資家として、資本を持ち込みます。先進国や新興経済国では、農業や観光、家庭内労働で欠くことのできない役割を果たしています。移住者が子どもや高齢者の世話をすることも多いのです。
一般的に、人々は非正規の移住を犯罪と捉えがちです。正式な書類をもっていない移住者は社会にとって危険な存在であり、拘留すべきであるとか、単純労働に就く女性移住者はすべて人身取引の被害者であるなどと考える人々も多くいます。
こうした根拠のない考え方が、的外れな、そして時には危険な移住政策の採用につながるのです。
国家には国境を管理する主権があります。しかし、それと同時に、国際法上の義務を守る責任もあります。国際人権法によれば、すべての人々には差別なく、また、国籍や法的地位に関係なく、基本的人権を享受する資格があります。いかなる移住者も、拷問を受けることになる場所へ送還されるべきではありません。女性の移住者はいずれも、リプロダクティブ・ヘルスケアを含む医療を利用できるようにすべきです。また、すべての移住者の子どもが学校に通えるようにすべきです。
人権は慈善でもなければ、入国規則を守ったことに対する報酬でもありません。全世界で2億1,400万人を数える国際移住者とその家族を含め、人権はいかなる人からも奪うことのできない権利なのです。
「すべての移住労働者とその家族の権利の保護に関する国際条約」は、45カ国が批准しています。私はその他すべての国々に対し、国内にいる移住者全員の人権を保護、推進するという約束の証として、この重要な条約に加入するよう呼びかけます。
権利を侵害され、社会から疎外、排除された移住者は、その出身地にも移住地にも、経済的、社会的に貢献できなくなってしまいます。しかし、適切な政策と人権の保護を受けられる移住者は、個人にとっても、また、出身国、経由国、移住先国にとっても、役に立つ力となれるのです。
このグローバルな現象を前進に向けた力とできるよう、建設的なステップを踏むことで、国際移住者デーを有意義な日にしようではありませんか。
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