長崎平和祈念式典に寄せる事務総長メッセージ (長崎、2012年8月9日)
プレスリリース 12-040-J 2012年08月09日
アンジェラ・ケイン国連軍縮担当上級代表が代読
2年前、私は国連事務総長として初めて長崎を訪問し、1945年の原爆投下で犠牲となった方々を追悼するという貴重な機会を得ました。
本日、あの歴史的な日を祈念する式典に皆様と共に参加できることを光栄に思います。
惨事の大きさはあらゆる理解を超えるものでしたが、皆様は街の復興のみならず、さらに大きな目標に向けて前進を続けています。すなわち、長崎があのような兵器の犠牲となった最後の地であり続けることを固く決意されています。ご参列の皆様、首長 をはじめとする自治体関係者の皆様、そして被爆者の方々は、あのような爆撃が二度と、いかなる地においても起きてはならないことをよくご存じです。
この目標達成に向けて確かな土台を構築すべく、リーダーシップと固い決意を示しておられる皆様の姿勢を私は称えたいと思います。この地でまもなく開催される「軍縮・不拡散教育グローバル・フォーラム 」は、この決意を具体的に表すものと言えるでしょう。日本の外務省および国連大学が主催し、長崎市および長崎大学の協力のもとに行われる同フォーラムでは、核兵器とその存在による脅威のない世界へと道を切り拓いていく上で、知識、教育、そして人々の意識が果たし得る役割を明らかにしてくれるでしょう。
さらに、皆様は、平和市長会議を通じて核兵器廃絶運動を推進されてきました。同会議は現在、5,000を超える世界各都市の支持を得るまでになっています。さらに、私が提唱する核軍縮に関する5項目提案への様々な取り組みについても、感謝の意を表します。
長崎市民の皆様は、今や明らかに世界市民となったのです。
核兵器の使用がもたらす人道上の影響は、戦時国際法や基本的道徳規範では解決し得ないことに、国際社会全体が気づき始めています。
そのことが何を意味するかは明白です。すなわち、核兵器の使用を阻止する最も効果的な方法とは、核兵器そのものを廃絶することなのです。私たちは、国際の平和と安全、そしてこの地球上における人類の未来を、核抑止力という皮肉な教義にいつまでも託すことはできません。核拡散防止の必要性を強調しながら、一方では核兵器を究極の安全保障と称えるようなことはできないのです。
この矛盾を解決できるのは、軍縮にほかなりません。従って、軍縮の推進は、望ましい長期目標であるのみならず、普遍的支持を得るに値する喫緊の課題でもあるのです。
核兵器のない世界の達成に向けて共に前に進みましょう。私としてもできる限りのことを行う心づもりです。
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