貧困撲滅のための国際デー(10月17日)事務総長メッセージ
プレスリリース 12-052-J 2012年10月17日
貧困問題を非難することは簡単ですが、具体的な対策を講じることは簡単ではありません。飢餓や窮乏、侮辱に苦しむ人々には、温かい同情の言葉だけでなく、具体的な支援も必要です。
多くの国々が緊縮政策を強いられる中で、私たちは今年の「貧困撲滅のための国際デー」を迎えます。各国政府が財政均衡に向けて懸命の努力を続ける一方で、貧困対策の財源は脅威にさらされています。しかし、逆に今だからこそ、貧しい人々に社会サービスへのアクセスや所得の安定、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)、社会的保護を提供することが必要なのです。私たちがより強く、より豊かな社会を築くための前提もそこにあり、決して貧しい人々を見捨てて予算を切り詰めることにはありません。
ミレニアム開発目標(MDGs)は、グローバルな行動を活性化させ、大きな進歩を実現しました。私たちは極度の貧困を半減させただけでなく、初等教育の男女不平等も是正し、今では男女同数の生徒が小学校に通うようになっています。きれいな飲み水を利用できるコミュニティが増え、保健への投資によって数百万人の命も救われました。
こうした成果は、より公平かつ豊かで持続可能な世界に向けた重要な前進といえます。しかし、今でも10億人が貧困の中で暮らし、食料や教育、医療を受ける権利を否定されています。私たちはこうした人々が持続可能な解決策の発見に貢献できるよう、そのエンパワーメントを図らなければなりません。私たちは、すべての国々が2015年までにMDGsを確実に達成できるよう、全力を尽くすべきです。
世界の指導者は、今年6月に開かれた「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」で、貧困の根絶は「世界が目下直面する最大のグローバル課題」であると宣言しました。
国連は今、人々と地球が抱える根強い不平等や新たな課題に立ち向かいながら、MDGsを土台に、2015年以降の期間に関する国連開発枠組みを策定しているところです。私たちのねらいは、現世代と将来の世代にともに利益となる大転換を実現できる大胆かつ野心的な枠組みを作ることにあります。
これまで、あまりにも長くまん延を続けてきた貧困は、社会不安や平和と安全への脅威にも結びついています。今年の国際デーにあたり、貧しい人々の貧困脱出を助け、こうした人々が今度は世界の転換に力を貸せるようにすることで、私たちに共通の未来へ投資しようではありませんか。
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