安倍晋三総理大臣との共同記者発表におけるアントニオ・グテーレス事務総長の発言 (東京、2017年12月14日)
2017年12月20日
今回の訪日には、非常に特別な意味があります。現在の多国間システムを担う柱の一つとして、日本のリーダーシップに敬意を表するとともに、日本の国連に対する支援に対し、私の深い感謝の気持ちを示すことが、その目的です。日本の支援は財政的、政治的な支援にとどまらず、あらゆる国連の活動にとって重要なすべての領域に関する重要なイニシアティブに及んでいます。
人間の安全保障における日本のリーダーシップは、私自身が予防や、持続的な平和と持続可能な開発のすり合わせを優先課題とするうえで、刺激を受ける大きな要因となりました。また、気候変動に関する日本のリーダーシップ(私たち全員が知っている議定書に「京都議定書」の名が付いていることは、単なる偶然ではありません)や、日本の国内における「持続可能な開発目標(SDGs)」に対する強力なコミットメント、そして特に、日本が全世界で展開している極めて寛大な開発協力や人道政策といった側面はいずれも、国連の活動にとって極めて重要であり、私たちが日本のリーダーシップを非常にはっきりと認識している分野でもあります。
その一方で、私たちは拉致事件を全面的に非難するとともに、できる限りのことをするという強い決意も表明したいと思います。残念ながら、拉致被害者の即座の引渡を確保するために、思い通りの行動が取れないという現状がありますが、日本の多くの家族にこれほどの苦痛をもたらしてきた恐ろしい状況に終止符を打つため、できる限りのことをするという決意に変わりはありません。
私たちは、北朝鮮の動向との関連で、私たちが現在、直面している核の脅威についても話し合いました。現時点では、まず北朝鮮がすべての安全保障理事会決議を全面的に履行せねばならないことは明らかですが、制裁の実施を確保し、朝鮮半島の非核化という、私たち全員が目指す成果を達成するために欠かせない役割を果たすその他の国々も、すべてこれを全面的に履行する必要があります。
この点で、安保理の結束は欠かせません。それは決議の目的を達成することはもちろんのこと、平和に非核化を進めるための外交的なやり取りを可能にするうえでも欠かせないのです。
私たちにとって起こり得る最悪の結果は、無意識のうちに、極めて悲劇的な状況をもたらしかねない戦争へと歩を進めてしまうことでしょう。
私はまた、今日の世界に関連するあらゆる側面で、日本と手を携えていくことを固くお約束したいと思います。
今回は私にとって20回目、国連職員としては15回目の訪日に当たります。私は日本の古くからの友人として、今後の日本の発展をお祈りするとともに、国際社会全体にとって大切なすべての側面に、皆様が関与されることを望みたいと思います。
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