ホロコースト犠牲者を想起する国際デー(1月27日)に寄せる
潘基文(パン・ギムン)国連事務総長メッセージ
プレスリリース 10-004-J 2010年01月28日
今年の国際デーのテーマは「生存という遺産」です。
数多くの男性と女性、そして子どもたちは、ゲットーやナチスによる死の収容所の恐怖に苦しみながらも、なんとか生き延びました。
そのすべての生存者が、私たちにとても大切なメッセージを伝えてくれます。すなわち、人間の精神の勝利というメッセージです。たとえ専制政治が行われたとしても、それが優勢になることは決してないと、生きた証が伝えているのです。
生存者たちは、私たちの子孫のために、ホロコーストから得た教訓を守り続けるという重要な役割も担っています。
収容所として最大、かつ最も悪名高いアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所は、65年前の今日、解放されました。このような場所では、何百万人もの人々が組織的に虐待され、殺害されました。被害者のほとんどはユダヤ人でしたが、それ以外の人々も標的にされました。アウシュヴィッツで殺害された数千の人々は、「ファミリー・キャンプ」に収容されていたロマとスィンティの人々でした。
ホロコーストの生存者は、これからも永遠に私たちと共にいるわけではありません。けれども、彼らがホロコーストを生き延びたという遺産は生き続けなければなりません。私たちは、記念行事や教育などを通じて、生存者の物語を語り継いでいかなくてはなりません。そして、そうした粘り強い取り組みを通じて、何よりもジェノサイド(大量虐殺)や他の重大な罪を防いでいく必要があるのです。
国連は、この目標を達成するよう全力を尽くしていきます。私たちと共に、ホロコーストを想起するという使命を前進させることを誓い、人間の尊厳を守ろうではありませんか。