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世界水の日(3月22日)に寄せる潘基文(パン・ギムン)国連事務総長メッセージ

プレスリリース 10-017-J 2010年03月19日

水は命の源であり、地球上のあらゆる生物を結ぶ絆でもあります。それは、母子保健と平均寿命の改善、女性のエンパワーメント、食糧安全保障、持続可能な開発、気候変動への適応とその緩和という、私たち国連の目標すべてに直接かかわっています。2005年から2015年が「命のための水」国際行動の10年と宣言されたのも、このような絆が認識されたからです。

私たちにとってかけがえのない水資源はこれまで、大きな底力を見せてきましたが、今ではますます脆く、脅威にさらされる存在となっています。人口の増大により、食料、原材料、そしてエネルギーとしての水に対する私たちの需要は、すでに危機にさらされている生態系や、私たちが依存するサービスを持続させるための自然自体の水需要との競合関係を強めています。私たちは来る日も来る日も、数百万トンの未処理の汚水や産業・農業廃棄物を世界中の水系に垂れ流しています。きれいな水は希少になってきたばかりか、気候変動が始まれば、さらに希少化が進むことになります。そして、汚染や水不足、衛生設備の不足で真っ先に、しかも最も大きな影響を受けるのは、依然として貧しい人々なのです。

今年の「世界水の日」のテーマである「きれいな水で健康な世界を(Clean Water for a Healthy World)」は、水資源が質的にも量的にも危険にさらされていることを強調するものです。安全でない水による死者の数は、戦争を含むあらゆる形態の暴力による死者を上回っています。このようにして命が失われることで、私たちに共通の人道は踏みにじられ、潜在的開発能力を発揮しようと努力する多くの国々の取り組みも台無しになっているのです。

世界には、こうした課題を克服し、私たちの水資源をもっと大切に管理するためのノウハウが備わっています。水は私たちの開発目標の要です。「国際行動の10年」も半ばを迎え、年内にはミレニアム開発目標サミット(MDGサミット)を控えた今、貧しい人々のために、社会的弱者のために、そして地球上の全生物のために、私たちの水資源を守り、これを持続可能な形で管理していこうではありませんか。