国際防災の日(10月13日)に寄せる潘基文(パン・ギムン)国連事務総長メッセージ
プレスリリース 10-072-J 2010年10月12日
最大、致命的、史上最悪。私たちは今年、こうした言葉をあまりにも頻繁にニュースの見出しとして目にしてきました。地震、洪水、ハリケーン、森林火災、そして人命や所得の損失に関して使われてきた言葉です。気候変動とハザード(災害原因事象)が増加する中、私たちはこうした言葉をこれから何年も耳にすることになるでしょう。気象パターンが変わってきているだけでなく、人間社会も変化しているために状況は複雑化しています。私たちの生活はより都市化してきています。都市化が急速に進む世界において地震、洪水、高潮などが発生する場合、これらの災害はこれまで以上に致命的な被害をもたらすことが予想されます。
多くの都市が沿岸地域にあり、暴風雨や浸水、海面上昇に対して脆弱です。アジアでは10億人以上の人々が海岸から100キロメートル以内に住み、中南米カリブ地域の人口の3分の2は、同様に200キロメートル以内に住んでいます。あまりにも多くの人々が氾濫原や断層の上に居住しています。樹木のない地域の下流に居住する人々は、このような災害要因に対する緩衝帯をほとんど持っていません。災害リスクは気づかないうちに蓄積されていきます。そして、自然ハザードはすべての人々に脅威を与えますが、貧困層の人々が極めて影響を受けやすい立場にあります。
前向きな側面としては、私たちは対処する方法を学んでいるということです。国際防災の日の今日、より持続可能な町や都市づくりにおいて、地方自治体やコミュニティが自らを守るために行っていることを認識しようではありませんか。
昨年の5月、国連国際防災戦略事務局(UNISDR)はグローバル・キャンペーン「災害に強い都市の構築」を開始しました。1億1千万人余りの都市人口を抱える100以上の都市が、コミュニティを災害からより安全にするための行動を示した「必須10項目」を誓約し、キャンペーンに参加しています。グッド・プラクティスを備えたロール・モデル(模範)には、フィリピンのアルバイ州、日本の兵庫県、バンコク、ボン、メキシコシティー、ムンバイなどが挙げられます。
必須10項目は、持続可能な都市についての広い概念を実行可能な解決策として提示したものです。10項目は各国政府が富裕層も貧困層も分け隔てなく、すべての人々に役立つような予算配分をするよう要請すると共に、リスク評価や防災訓練、生態系の保護、早期警戒システムに投資することを求めています。都市計画担当者は都市部の主要なリスク要因、すなわち弱いガバナンス(統治)の課題やリスク軽減に関する計画と実施に果敢に取り組む必要があります。意思決定は包括的かつ参加型であることが求められると共に、持続可能な都市化の原則が取り込まれ、支持される必要があり、特にスラムや非正規居住区に住む人々のために役立つ必要があります。
災害リスクを軽減することは、地方政府や中央政府だけでなく、市民社会や専門家ネットワークを含むすべての人々の仕事であり、すべての人々による参加と投資が必要です。国際防災の日にあたり、私は気候や環境、社会的なリスクに対して強い都市の構築・回復力の向上に取り組んでいる都市を称賛します。そして、他のすべての都市にもこう問いかけたいと思います。「あなたの都市は備えていますか?」