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貧困撲滅のための国際デー(10月17日)に寄せる潘基文(パン・ギムン)国連事務総長メッセージ

プレスリリース 10-075-J 2010年10月17日

今年の「貧困撲滅のための国際デー」は、ディーセント・ワーク、働きがいのある就労、収入を生み出す生計手段、すなわち一言でいえば仕事を中心的テーマに据えています。

人間らしく生産的な労働は、貧困と闘い、自立した生活を構築するうえで、最も効果的な手段の一つです。

しかし今日、世界中の労働者の半数以上は、不安定な仕事に就いています。このような人々には、正規の雇用契約も社会保障もないため、生活の向上に向けた経済的機会を得ることはおろか、家族を養うのにも足りない所得しか得られないことが多くなっています。グローバル経済危機は6,400万人を貧困に追いやっていると見られ、失業者の増加数も2007年以降、3,000万人を超えています。

貧困からディーセント・ワークに至るギャップを、私たちはどうしたら埋められるでしょうか。そのためには、雇用の創出を促す経済・社会政策に投資せねばなりません。すなわち、人間らしい労働条件の促進や社会保障制度の整備です。教育や公衆衛生、職業訓練の普及も、もちろん欠かせません。

私たちはまた、若者の雇用を特に重視せねばなりません。若者は成人に比べ、失業に陥る可能性が3倍高くなっています。昨年、若年失業者数は8,100万人を超え、最多数となりました。若者に将来への期待を与える最善の方法の一つが、人間らしい仕事の提供です。

先月、ニューヨークで開かれた「ミレニアム開発目標サミット(MDGサミット)」で各国首脳は、グローバルな貧困対策をさらに充実させるための行動課題に合意しました。世界各地で心強い前進が見られているにもかかわらず、最も基本的なサービスさえ欠き、悲惨な条件のもとで暮らす人々の数は、依然として数億人に達しています。グローバルな雇用危機に対応することは、この状況を打開するうえで、すなわち、貧困を退け、経済を強化し、平和で安定的な社会を構築するうえで欠かせません。

経済の不確実性や財政の逼迫の広がりを、必要な取り組みを減らす言い訳にしてはなりません。むしろそれらは、一層の取り組みを行う理由でもあるのです。

今年の「貧困撲滅のための国際デー」にあたり、貧しい人々の声に耳を傾け、雇用機会と安全な労働条件を各地に広めるべく努めようではありませんか。

すべての人々にディーセント・ワークを確保できる世界を目指そうではありませんか。