結核に関するハイレベル会合でのアントニオ・グテーレス国連事務総長挨拶(ニューヨーク、2018年9月26日)
プレスリリース 18-067-J 2018年10月10日
アミーナ・J・モハメッド副事務総長による代読
けさ皆様とお会いでき、嬉しく思います。
残念ながら、事務総長はきょうの会合に出席することができませんが、私が代わってご挨拶を申し上げたいと思います。
私は事務総長から、次の挨拶文を託されています。
各国代表の方々、
皆様、
私たちがいかにして結核に終止符を打つべきかを話し合うため、初のハイレベル会合を招集した総会に感謝いたします。
私たちは喫緊の課題を抱えています。
感染症として世界最大の死因である結核は、全世界で数百万人の命を奪っています。
この危険な感染症は、あらゆる大陸とあらゆる国を蝕んでいます。
2017年だけでも、新たに約1,000万人の感染者が出ました。
持続可能な開発目標(SDGs)の中心には、誰一人取り残さないという約束があります。
きょう、結核の影響を受けたコミュニティーの声は、国連の議場に響き渡っています。
私たちの取り組みの本格化と、パートナーシップの拡大を求める皆様の声を、私たちの活動の鼓動として、心に刻んでいかねばなりません。
結核は孤立して存在しているわけではありません。
貧困や不平等、都市化、移住、紛争のいずれもが、結核の蔓延を助長させます。
結核はその他の疫病や貧困、困窮の温床にもなります。
結核が生む悪循環に取り組むには、その蔓延を永続化させる社会的要因に配慮したシステム全体的なアプローチが必要です。
その感染に終止符を打ち、薬物耐性結核というグローバルな公衆衛生の危機を食い止めるため、私たちは医療制度と社会福祉制度を改善する必要があります。
毎年、薬物耐性結核の症例がおよそ50万件を数える中、私たちに必要なのは、結核と闘い、抗菌薬耐性の増大という脅威を克服すべく、より良いツールを見つけるための科学の進歩です。
私は皆様に対し、きょうの議論全体を通じ、結核とより幅広い健康アジェンダとの関連性を慎重に検討することをお願いしたいと思います。
私たちの野心を実現するためには、病気ごとに縦割りとなっている私たちの活動をそのままにしておくわけにはいきません。
結核対策の資金も依然として、大幅に不足していますが、2022年までに少なくとも、年間130億ドルが必要となります。
私たちはより幅広い保健全般と、結核に終止符を打つために必要なシステムに、より多く投資することが必要です。
事実、結核は私たちに、これを予防、診断、治療するだけでなく、コミュニティー全体のさらに幅広い健康と福祉を増進、保護できる保健インフラの構築に対するシステム全体的アプローチを実施できる重要な機会を提供しています。
私たちの結核対策は、医薬品へのアクセスを拡大するとともに、すべての人のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)に向けた前進を牽引することができます。
世界保健機関(WHO)による2030年を期限とする世界結核終息戦略は、行動のための枠組みを提供しており、これに基づく前進もすでに見られています。しかし、この前進は一様ではなく、速度も遅く脆弱です。
新規結核感染の3分の2は、わずか8カ国で起きています。
誰一人取り残さないという私たちの約束を真に果たすためには、さらに多くの作業が残っています。
そのためには、単独の作業の流れ、単独の疾病に取り組む縦割り型の作業、そして単独の目標を超越し、特に最も貧しく、疎外されたコミュニティーで、人々のために前進を牽引するための新しい活動方法が必要となります。
皆様のきょうの議論と、この会合のフォローアップ作業は、そうした重要な多部門的アプローチを体現しています。
私はけさ、政治宣言を採択する総会メンバーの皆様を祝福します。
宣言は極めて野心的ですが、私たちが最善のデータと科学、詳細な情報を得たうえでの決断、エンパワーメントを受けたコミュニティー、そして戦略的で十分な財源に裏づけられた行動に基づく取り組みを行えば、前進は可能です。
私たちは引き続き、テドロス事務局長とWHOが、市民社会やすべてのパートナーと連携して各国政府を支援し、必要な加速を実現するための国連横断的な取り組みを指導することを期待しています。
世界保健総会を通じ、私たちは結核関連のターゲット達成に向けた進捗状況の監視に必要な枠組みを手にしていますが、私はこれが、今後数年のより幅広い保健目標実現に向けた進捗状況に関し、ここ国連で行われるさらに広範な議論に反映されることを期待しています。
私たちはまた、市民社会のメンバーが引き続き、大胆な新しいやり方で、私たちの前進に資する対話とアクションを鼓舞していくことも頼りにしています。
私たちの取り組みが最も大きな効果を上げられるよう、国連との取り組みを続けてください。
私たちは、1年後に控えたUHCに関するハイレベル会合に向けた準備を進める皆様を、引き続き支援していきます。
私たちは、疫病の蔓延に終止符を打ち、非伝染性疾病と闘い、福祉を可能にするうえで、この問題に重大な意味があることを知っています。
きょうの皆様の議論が、実り多いものになることをお祈りします。
私は、各国のリーダーが行った具体的な約束について、もっと詳しくお聞きできることを楽しみにしています。
ともに力を合わせ、今度こそ結核に終止符を打つことを誓おうではありませんか。
ありがとうございました。
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