太平洋地域への訪問を締めくくるにあたってのアントニオ・グテーレス国連事務総長声明(2019年5月18日)
プレスリリース 19-035-J 2019年06月06日
私はこの一週間、気候変動が太平洋島嶼国に及ぼす影響を目の当たりにしてきました。これら諸国は、グローバルな気候緊急事態をほとんど助長していないにもかかわらず、最も深刻な被害を受けています。中には、気候変動が生存を脅かしているような国もあります。
こうしたリスクはまさに現実のものとなっています。村落全体が移動を余儀なくされたり、生計が破壊されたり、人々が気候関連の病気に罹ったりしているほか、ツバルでは、国全体がその存続をかけて闘っている様子が見られました。
これらの国について特筆すべき点は、こうした巨大な脅威に直面しながらも、あきらめないという決定を下したことにあります。解決策を見出すことを決意し、その強靭性と適応力を高めるための方策を開発しています。それだけでなく、排出量削減を先頭に立って進め、世界が見習うべき模範にもなっています。
その声は、大きくはっきりと聞こえます。小島嶼国だけで気候変動を食い止めることは不可能であり、全世界で取り組まねばならないということです。
私たちは、気候変動との闘いにはエネルギーやモビリティ、工業、農業の転換を図る政策に向けた政治的意志が必要であることを理解せねばなりません。私が太平洋地域で、3つの緊急メッセージを世界のリーダーに一貫して発信してきた理由も、ここにあります。
第1に、私たちは課税対象を給与から炭素へシフトさせねばなりません。人々ではなく、汚染に税金をかける必要があります。
第2に、私たちは化石燃料への補助金を廃止しなければなりません。ハリケーンを強めたり、干ばつや熱波を広めたり、氷河を融かしたり、サンゴを白化させたりするために、納税者の資金を費やしてはなりません。
第3に、私たちは2020年までに石炭火力発電所の新設を止めなければなりません。私たちに必要なのはグレー・エコノミー(灰色経済)ではなく、グリーン・エコノミー(緑の経済)です。
私たちが呼びかけているのは、寛大さでも連帯でもなく、全世界の政策決定者全員の賢明な利己心です。危険にさらされているのは太平洋地域ではなく、地球全体だからです。太平洋を救うことは、地球全体を救うことなのです。
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