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世界海洋デー(6月8日)に寄せる アントニオ・グテーレス国連事務総長メッセージ

プレスリリース 19-037-J 2019年06月14日

A little girl speaks to the ocean. Finalist of the World Oceans Day Photo Competition 2017 / Dragos Dumitrescu, Romania.

~ジェンダーと海洋~

海洋は私たちをつなげ、私たちの命を維持しています。それはまた、多種多様な生物の住処であり、地球規模の気候緊急事態への対処に欠かせない砦でもあります。

しかし、海は現在、かつてない脅威にさらされています。過去150年間に、サンゴの生体の約半数が失われました。この40年間に、プラスチックによる海洋汚染は10倍に悪化しました。漁業資源の3分の1は乱獲状態にあります。酸欠海域と呼ばれる、酸素の欠乏で生物が生存できなくなった海底砂漠は、面積と数の両面で急速に広がっています。

今年の「世界海洋デー」は、私たちと海との関係が持つジェンダーの側面をテーマとしています。

汚染と気候変動が海に及ぼす影響によって、女性は不当に大きな被害を受けています。女性はあまりにも長い間、海からの恩恵を平等に共有できていません。女性は、野生魚と養殖魚の捕獲や収穫に従事する労働者の半数を占めているにもかかわらず、男性よりもはるかに低い賃金しか受け取っていません。また、女性は水産物の加工など、労働と認められていない単純労働へと追いやられることが多く、意思決定の役割からも排除されています。
同じような取り扱いは海運や沿岸観光、海洋科学などの関連部門でも見られており、こうした部門では女性の声がしばしば無視されています。

ジェンダーの不平等への対処は「持続可能な開発のための2030アジェンダ」における海洋関係の目標とターゲットの達成に欠かせません。私たちは、危険な作業条件に確実に終止符を打ち、女性が海洋関連活動の管理で平等な役割を担うことを保証せねばなりません。

私は各国政府、国際機関、民間企業、コミュニティー、そして個人に対し、海洋関連の課題に立ち向かうために欠かせない貢献として、ジェンダーの平等や女性と女児の権利を推進するよう、強く促します。

私たちはまた、海洋・沿岸生態系に持続不可能なレベルのストレスを与えている工業、漁業、海運業、鉱業、観光業からの相反する需要に、分野横断的に取り組まなければなりません。2017年の国連海洋会議で採択された「行動の呼びかけ」は、取り組みの方向性を示すことに役立ちます。2020年にリスボンで開催される次回の海洋会議を見据え、持続可能な開発に欠かせない海洋という資源の保護と保全に、皆で全力を尽くしていこうではありませんか。

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