緒方貞子氏 逝去に際しての アントニオ・グテーレス国連事務総長声明
プレスリリース 19-097-J 2019年10月30日
全世界の人々にとって模範となる人道主義者であった緒方貞子・元国連難民高等弁務官逝去の報を受け、私は深い悲しみに包まれています。
緒方貞子氏は、難民支援の基準となるべきものを確立しました。すなわち、道義を大切にし、共感を抱き、効果をもたらす、ということです。そして、恐れることなく人々や人道に基づいた行動、そして政治的な解決を擁護しました。女性初の難民高等弁務官として、緒方氏は暴力が女性に及ぼす影響だけでなく、女性が解決に関与することが必須であることを強調する先導役を果たしました。高等弁務官の職を退いた後も、特に人間の安全保障という概念の明確化という点で、緒方氏は長く貢献してきました。
緒方貞子氏は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に独自の遺産と影響を与えました。それは数年後、私がUNHCRのリーダーに就任した際にも見て取れました。緒方氏による連帯と難民の利益に資する巧みな活動のおかげで、何百万もの人々の生活と機会が改善しています。そして、緒方氏が残した成果により、今でも自らの国や故郷を追われた多くの人々は、より良いサービスを受けられるようになっているのです。
私は同僚として、そして友人として、緒方貞子氏と知り合いになれたことを感謝するとともに、ご家族の方々、日本の国民と政府、そして全世界で緒方氏を称賛する多くの人々に対し、哀悼の意を表します。
ニューヨーク
2019年10月29日
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