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ニュースクール大学におけるアントニオ・グテーレス国連事務総長発言: 「女性と権力」 (ニューヨーク、2020年2月27日)

プレスリリース 20-012-J 2020年03月06日

学生の皆様、友人の皆様、

本日、この場でご挨拶できることを嬉しく思います。また、私に対し、そして私を通じて国連と全世界の職員に対し、この名誉学位を授与していただいたことに感謝いたします。

ニュースクール大学は特別な場所です。

私はエンジニアの出身なので、私の生涯で最大の知的情熱の対象となってきたのは物理学でした。しかし、私が最も尊敬しているのは芸術家や哲学者、社会科学者、そして世界について説明し、世界をより美しくしている人々です。

私たちを精神的に高め、私たちの生活に意味を与えてくれているニュースクール大学に感謝したいと思います。

私にとって、女性と権力に関する私たちの見解、そして、私たちのあらゆる活動でジェンダー平等を実現するという確固たる決意について説明するうえで、ニュースクール大学に優る場所はありません。

西欧の男性として生まれた私は、多くの特権を享受してきました。

しかし、ポルトガルの独裁政権下で幼年時代を過ごしたことが、不公正と抑圧に対する私の目を開かせました。

リスボンのスラムでボランティア活動に携わる学生として、私の政治家としてのキャリアを通じて、そして、国連難民高等弁務官として…

私は常に、不公正や不平等、人権の拒絶と闘うことを義務のように感じてきました。

そして今、私は国連事務総長として、世界中の圧倒的な不公正を目の当たりにしています。それは注意を向けるよう訴えている、ある虐待です。

それこそ、ジェンダーの不平等、そして女性と女児に対する差別に他なりません。

あらゆる場所で、女性は女性であるという理由だけで、男性より苦しい生活を強いられています。

移民や難民の女性、障害を持つ女性、あらゆる種類の少数者に属する女性は、さらに大きな障壁に直面しています。

この差別は、私たち全員に悪影響を及ぼします。

奴隷制と植民地主義が、これまで数世紀にわたる汚点だったのと同じように、女性の不平等は、21世紀に暮らす私たち全員の名誉を傷つけるものとみなすべきです。

それは単に許しがたいだけでなく、馬鹿げているからです。

女性の平等な参加がなければ、私たちは人類全体の知性や経験、知見の恩恵を受けることができません。

女性の平等な参加は、安定に不可欠であるほか、紛争の予防に役立ち、持続可能で包摂的な開発も促進します。

ジェンダー平等は、よりよい世界の実現に必要な前提条件です。

親愛なる友人の皆様、親愛なる学生の皆様、

これは新しい問題ではありません。女性は数世紀にわたり、その権利を求めて闘いを続けてきました。

500年前、キンブンド人のジンガ・バンディ女王(ンジンガ女王)は現在のアンゴラで、ポルトガルの植民地支配に抵抗して戦いました。

1792年に『女性の権利の擁護』を著したメアリ・ウルストンクラフトはしばしば、西洋フェミニズムの母とみなされています。

60年後、ソジャーナ・トゥルースは、奴隷制廃止を求めて活動する傍ら、女性の権利を切々と訴えました。

女性の権利を求める運動は、20世紀に成長を遂げました。女性の首脳誕生は、女性のリーダーとしての能力に関する疑念を払拭しました。世界人権宣言は男女同権を謳い、女性に対するあらゆる形態の差別撤廃に関する条約は、ジェンダー平等というビジョンの輪郭を示しました。

今日では、マララ・ユスフザイ、ナディア・ムラド両氏のような女性が、障壁を突き崩し、新しいリーダーシップ・モデルを作り出しています。

しかし、こうした前進にもかかわらず、女性の権利は悲惨な状況のままです。

あらゆる場所で、不平等と差別が常識となっています。

前進のペースは落ち、停止し、さらに場合によっては逆行を始めています。

女性の権利は強力かつ執拗な抵抗を受けています。

女性の殺害を含む女性に対する暴力は、流行病に匹敵する水準に達しています。女性の3人に1人以上が、一生のうちに何らかの形の暴力を受けているからです。

レイプや家庭内暴力に対する法的保護は希薄化し、場所によっては後退しています。夫婦間のレイプは依然として34カ国で合法とされています。女性の性と生殖に関する権利は、各方面から脅威にさらされています。

女性のリーダーや著名人はオンライン、オフラインの双方で嫌がらせや脅迫、人権侵害を受けています。

何百万もの女性と女児にとって、個人的自由と服装の取り締まりは日常茶飯事となっています。

政府から企業の役員会、授賞式に至るまで、女性は依然として重要な場面から排除されています。

緊縮や出産の強制など、女性に不利益をもたらす政策が再び広がりを見せています。

すべての国が包摂を約束してから20年を経過してもなお、女性は和平交渉の場から排除されたままです。

そして、デジタル時代はこうした格差をさらに根深いものにするおそれがあります。

親愛なる友人の皆様、親愛なる学生の皆様、

ジェンダー平等は根本的に、権力の問題です。

私たちは、男性が支配する世界で、男性が支配する文化の中で暮らしています。私たちはもう数千年間も、同じことをしてきたのです。

歴史家のメアリー・ビアード氏は、家父長制が西洋文化の歴史に深く根差していることを突き止めています。

ホメロスが3,000年前に著した『オデュッセイア』でも、テレマクスは母のペネロペに対し、黙って男たちに話をさせておくよう求めています。

残念なことに、今日でも私が参加する会合で、テレマクスの姿を見ることがあります。

男系相続に基づく社会制度である家父長制は、依然として私たちの生活のあらゆる分野に影響を及ぼしています。男女、女児、男児にかかわらず、私たち全員がその影響に苦しんでいます。

男性優位の権力構造は、私たちの経済、私たちの政治制度、私たちの企業の底流にあります。

ハリウッドで有名になっても、女性は身体面、感情面、仕事面で自分に権力をふるう男性から守られていません。私は勇気を出して声を上げ、抵抗を始めた女性たちに敬意を表します。

隠れたところで積み重なった不平等が、私たち全員の生活を律する制度や機構に組み込まれていますが、それらは全人口のうち半数のニーズにしか基づいていません。

作家のキャロライン・クリアド・ペレス氏は、男性こそが標準で女性を例外的とする無条件の想定を「男性デフォルト型」思考と呼んでいます。

これによって、世界最大のデータ格差が生じました。女性が計算に入れられず、その経験も無視されることが非常に多くなっているからです。

その影響は、トイレからバス路線に至るまで、あらゆる所に表れています。女性が自動車事故で負傷するリスクのほうが高いのは、座席やシートベルトが男性デフォルト型になっているからです。心臓発作による死亡率も女性の方が高いのは、診断ツールが男性デフォルト型で設計されているからです。

男性デフォルト型思考は、女性にとってまさに最後の辺境である宇宙にまで広がっています。宇宙遊泳経験者を見ると、男性は150人を超えているのに対し、女性は一握りしかいません。それは特に、宇宙服が男性デフォルト型でデザインされているからです。月面を歩いた女性はまだいませんが、女性の数学者は、男性が月に足を踏み入れるのに欠かせない役割を果たしました。

私たちはようやく、このような女性が達成した成果を称賛するようになりました。先ごろ他界されたキャサリン・ジョンソン氏もその1人です。

暴力や統制、男性支配型の権力構造や隠れた差別に加え、女性と女児は、何世紀にもわたる女性蔑視や、自分たちが遂げた功績が認められないことと闘うことがあまりにも多くなっています。

ヒステリーやホルモンの影響といった言い方で女性を嘲笑することから、日常的に女性を見た目で判断することに至るまで、また、女性の自然な身体機能にまつわる神話やタブーに基づく女性に対する紋切り型の評価から、「マンスプレイニング」や被害者バッシングに至るまで、女性蔑視はあらゆるところに顔を出します。

これとは対照的に、時代や文化に関係なく「天才」や「優秀」といった言葉は、女性よりも男性を形容する言葉として、はるかに頻繁に用いられています。

男性がルールを作り、女性の参加を禁じてきた事情を見れば、これは驚くには値しません。

家父長制や不平等による被害は、女性や女児よりもはるかに広い範囲に及んでいます。

男性にもジェンダーはあります。それはあまりにも厳密に定義されているため、男性や男児はリスクの高い行動や物理的攻撃、さらには助言や支援を求めようとしないことを含め、多くのステレオタイプの中に押し込まれています。

作家のチママンダ・ンゴズィ・アディーチェ氏も語っているとおり、「男らしさとは頑丈な小さい鳥かごで、私たちは男児をここに閉じ込めている」のです。

全世界で、男性の寿命は女性を下回ります。収監されたり、暴力を振るったり受けたりすることが多い一方で、自分から助けを求めることは少ない状況にあります。

私たちは男性の権力を、男性自身にとって大きな代償を伴う形で定義してきたのです。

ジェンダー平等は、男性の人間関係にも大きな利益をもたらします。育児や介護の役割を共有し、家族とより長い時間を過ごす男性は、より幸福であるだけでなく、その子どもたちも幸せになるからです。

さらに大きな規模で見ると、権力の均衡を変革することは人権や個人の発達、健康、福祉という点で不可欠だというだけではありません。

不平等の拡大や両極化から、気候危機に至るまで、現代の最も影響が大きく厄介な問題のいくつかを解決するするうえでも、それは欠かせないのです。

友人、そして親愛なる学生の皆様、

私は5つの分野でジェンダー平等を達成することにより、私たちの世界を変えていけると考えています。

第1に、紛争と暴力です。

女性に対する暴力と市民の抑圧、紛争の間には、直線的な関係があります。

毎年、平和と安全のために数兆ドル規模の資金が使われています。しかし私たちは、それが誰の平和、そして誰の安全のためなのかを問うべきです。

国家間の紛争は大きく報道されますが、世界で最も暴力が広がっているいくつかの地域では、女性の殺害が交戦地帯に匹敵する数に上ります。毎日、世界で137人の女性が親族によって殺されています。中には不処罰率が95%を超える国もあります。

言い換えれば、男性が女性に戦争を仕掛けていることになりますが、停戦や制裁を求める声はどこからも聞こえてきません。

また、社会が人口の半数に当たる女性をどう取り扱っているかは、他の人々がどう扱われているかを示す重要な指標でもあります。

レイプや性的奴隷制は、戦術として日常的に用いられているほか、女性蔑視はあらゆる暴力的過激派集団のイデオロギーに組み込まれています。

逆に、調停・和平プロセスに女性がリーダーや意思決定者として参加すれば、より恒久的で持続可能な平和が実現します。

国連は、女性を紛争予防、和平仲介、平和構築、調停の取り組みの中心に据えるとともに、女性平和維持要員を増員することを約束しています。

第2の分野は気候危機です。

私たちが直面する存亡の危機は、主として男性が下した結果から生じていますが、これによって女性と女児には不当に大きな影響が及んでいます。

干ばつや飢饉により、女性は食料や水を得るために、より過酷な労働を強いられる一方で、熱波や暴風雨、洪水による死者も、男性や男児よりも女性や女児のほうが多くなっています。

ワンガリ・マータイ、ジェーン・グドールの両氏から「フライデー・フォー・フューチャー」運動に至るまで、女性と女児は古くから、環境関連のリーダーや活動家として活躍してきました。

しかし、ジェンダーの不平等は気候変動対策に対し、さらに深い影響を及ぼしています。

ゴミの減量と再利用に関する取り組みは、圧倒的に女性を対象として行われる一方で、男性はまだ真価の分からない技術的解決策を信じる傾向が強くなっているからです。

個人的な環境への影響削減について、男性よりも女性の方が前向きに考えていることを示すエビデンスは、枚挙に暇がありません。

最近の研究では、女性のエコノミストや国会議員のほうが、持続可能で包摂的な政策を支持する可能性もはるかに高いことが分かっています。

地球を守ることが「女性の仕事」として、家事の一部のように捉えられてしまうおそれがあります。

私は、ここにも多くいらっしゃるZ世代の若者が、男女の二項対立ではないアイデンティティーと解決策の現状を認識しつつ、気候変動対策とジェンダー平等に向けて尽力していることに感謝しています。

マッチョを演じることで地球が救われることはありません。

私たちが気候緊急事態を克服するためには、ジェンダー平等が必要ですが、そこには男性が進んで責任を受け入れることも含まれています。

親愛なる学生の皆様、親愛なる友人の皆様、

女性の権利と機会均等が突破口を作り出せる第3の分野として、包摂的な経済の構築が挙げられます。

世界的に見て、女性は今でも、男性の収入1ドルに対し、77セントの収入しか得られていません。世界経済フォーラムの最新の調査によると、男女の賃金格差は2255年にならないと解消されない見込みです。

私の孫娘に、その孫娘の孫娘の代になっても、同一の労働に対して男性と同じ賃金を得られないなどということを、どうやって伝えろというのでしょうか。

男女の賃金格差は、女性と女児が全世界の貧困層の70%を占めている一因です。

さらにもう一つの原因として、全世界で女性と女児が無給の育児や介護に費やす時間が約120億時間と、男性の3倍に上っているという事情があります。

中には、女性が炊事や掃除、薪拾いや水汲み、育児や介護に1日14時間を費やしているコミュニティーもあります。

経済モデルには、これらの時間を「余暇」として区分しているものも多くあります。

国内総生産(GDP)は、家庭内で起きていることにまったく価値を認めていません。しかし、この欠陥だらけの指標は、経済政策決定の基準として用いられることで、政策を歪め、女性の機会を否定しているのです。

所得のある女性は男性よりも、家族やコミュニティーに投資することで、経済を強化し、そのレジリエンスを高める可能性が高くなっています。

女性はまた、長期的な物の見方をする傾向にあります。女性役員がいる企業は、安定性も収益性も高くなっています。

世界最大の投資銀行の一つは最近になって、女性の役員がいない会社の上場を引き受けないという決定を下しましたが、これは道徳的な根拠に基づく決定ではありません。財務の観点からも理に適っているのです。

すべての人に裨益する公正なグローバリゼーションを構築するためには、女性の経済的権利と機会の平等が世界的に欠かせません。

第4の分野は、デジタル格差です。

ある夫婦は昨年、妻の信用スコアのほうが高いにもかかわらず、夫の信用限度が妻の20倍に上ることに不服を申し立てましたが、この食い違いの原因として指摘されたのはアルゴリズムでした。

しかし、人工知能(AI)関連職種に女性の占める割合がわずか26%であるという事実に照らせば、多くのアルゴリズムに男性を利するバイアスがあることは驚きに値しません。

デジタル技術は、良い方向に巨大な力を発揮できます。しかし私は、大学やスタートアップ企業、全世界のシリコン・バレーで男性が技術職の圧倒的割合を占めていることを深く憂慮しています。

こうした技術拠点はすでに、未来の経済や社会を決定付けつつあり、権力関係の成り行きにも大きな影響力を及ぼしています。

女性がデジタル技術の設計に平等な役割を担えなければ、女性の権利に関する前進は逆行しかねません。

多様性の欠如は、ジェンダーの不平等を拡大するだけではありません。新技術のイノベーションと適用範囲を限定し、あらゆる人にとっての有用性を損なうことにもなります。

最後に5番目の分野として、政治的代表性が挙げられます。

全世界の女性国会議員の割合は、過去25年間で倍増し、4分の1に達しています。女性を首脳とする国は全体の10分の1に届きません。

しかし、政府の中での女性の代表制とは、セクシャルハラスメント対策や子育て振興策など、ステレオタイプ的な「女性問題」と同義ではありません。政府の中で働く女性は、社会の前進と、人々の生活にとって有意義な変革を推進します。

女性が教育と保健への投資を訴えたり、超党派的コンセンサスや見解の共通点を探ったりすることも多くあります。

女性の数が一定割合を越えると、政府が革新的な施策を導入したり、確立された通説を覆したりする可能性も高まります。

つまり、政治に関わる女性は権力を再定義、再配分しているのです。

福祉や持続可能性を含めるようGDPの定義を変えている政府に、女性のリーダーがいることは何ら偶然ではありません。

それは単純な話です。女性の参加は制度機構を改善するのです。

私たちが政策決定に2倍の資源、能力、そして専門知識を投入すれば、あらゆる人の利益となります。

私が国連事務総長就任当初から掲げている優先課題には、より多くの女性をリーダーの地位に採用することが含まれていました。今年1月1日、私たちは常勤の幹部レベルで女性90人、男性90人というジェンダー・パリティー(男女同数)を達成しました。私が就任時に設定した期限を2年前倒しでの達成です。今後、すべてのレベルで男女同数を達成するためのロードマップもでき上がっています。

この長年の懸案だった変革は、女性職員の平等な権利と能力を本質的に認識するものです。また、私たちが奉仕する人々にとっての効率と実効性を高めるという意味もあります。

親愛なる学生の皆様、親愛なる友人の皆様、

あえて言わせていただければ、男性が人為的に作り出した問題を、人類全体が力を合わせて解決するという機会が訪れています。

歴史を通じて、世界各地で母系社会が栄えてきたという事実は、家父長制が不可避でないことを立証しています。

私たちは最近も、多くの若者を含む女性たちが、実質的な変革を求める様子を目の当たりにしています。

スーダンからチリ、さらにはレバノンに至るまで、女性は暴力からの自由、影響力の増大、緊急の気候変動対策を求め、多くの人に機会と充足感を与えられない経済システムに異議を唱えています。

私たちはこうした若きリーダーと声を一つにし、これを支援しなければなりません。

ジェンダー平等は国連のDNAに組み込まれています。男女同権は私たちの設立文書である国連憲章に盛り込まれています。国連創設75周年と北京女性会議25周年にあたる今年、私たちは女性の権利を全面的に支援するための取り組みをさらに強化しています。

国連は先月、健全な地球に平和で豊かな包摂的社会を構築するための各国政府とのパートナーシップに向けた青写真として、持続可能な開発目標達成のための「行動の10年」をスタートさせました。

ジェンダー平等はそれ自体、一つの目標であるだけでなく、他の16の目標の達成にもカギを握ります。

「行動の10年」のねらいは、制度や機構を変革し、包摂性を拡充し、持続可能性を推進することにあります。

女性と女児を差別する法律を撤廃すること、暴力に対する保護を強化すること、女児の教育とデジタル技術における格差を縮めること、性と生殖に関する医療と権利への全面的アクセスを保障すること、そして男女の賃金格差を解消することは、私たちが取り組みの対象とする分野の一部にすぎません。

女性の平等なリーダーシップと参加は、その基本です。

私はこうした理由から、権力の均衡を根本的にシフトさせる最も効果的な方法として、女性枠の設定を常に支持してきました。今こそ各国政府や国会、企業の役員会、制度機構でジェンダー・パリティーを実現すべきです。

私は今後2年間にわたり、私たちの活動のあらゆる分野で、ジェンダー平等を重視、支援するため、個人的な関わり合いをさらに深めてゆく所存です。

私は、差別的な法律を施行している政府と連絡を取り、変革を求め、支援を申し出るとともに、新政権が樹立されるごとに、最高指導部レベルでジェンダー・パリティーを達成するよう働きかけていきます。

また、女性が和平プロセスに平等に参加できるよう、国連が最大限に影響力を行使するとともに、女性に対する暴力と、国際の平和と安全との間の関連性に関する私たちの活動を強化するための方策を探っていきます。

私は引き続き、暴力によって人生を変えられてしまった女性とお会いする予定です。

さらに、GDPに福祉と持続可能性の尺度を含めること、そして、無給の家事に真の価値を認めることも主張します。

私は国連全体で「男性デフォルト型」思考に終止符を打つことをお約束します。私たちはデータを重視する組織です。私たちのデータで、男性が原則であり、女性は例外であるという馬鹿げた想定を排除することは欠かせません。

和平交渉と通商協議の最前線でも、アカデミー賞やG20でも、役員室と教室でも、そして国連総会でも、私たちは女性の声と貢献を必要としているのです。

親愛なる学生の皆様、親愛なる友人の皆様、

ジェンダー平等は権力の問題です。この権力は数千年にわたり、男性によって用心深く守られてきました。

それは私たちのコミュニティー、私たちの経済、私たちの環境、私たちの関係、そして私たちの健康を害する権力の濫用に他なりません。

私たちの未来と地球を守るためには、直ちに権力を変容、再分配しなければなりません。

すべての男性が女性の権利とジェンダー平等を支持すべき理由は、ここにあります。

それは私がフェミニストであることを誇りに思う理由でもあります。

女性はあらゆる分野で、男性と肩を並べ、男性を追い抜いてきました。

今こそ、女性を変えようとすることを止め、女性が潜在能力を発揮することを妨げているシステムのほうを変え始めるべき時です。

私たちの権力構造は、数千年かけて徐々に進化してきました。さらなる進化を達成すべき時はとっくに来ています。

21世紀を女性の平等の世紀としなければなりません。

その実現に向け、私たち全員が役割を果たしていこうではありませんか。

ありがとうございました。

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原文(English)はこちらからご覧ください。