COVID-19感染拡大による子どもへの影響に関するアントニオ・グテーレス国連事務総長ビデオ・メッセージ(ニューヨーク、2020年4月16日)
プレスリリース 20-022-J 2020年04月17日
世界中で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が拡大する中、警戒すべき傾向が表れています。
感染拡大、またその対策によって社会で最も貧しく最も脆弱な立場に置かれた人々が最大の被害を受けています。
私は特に世界中の子どもの健康状態を危惧しています。
幸いなことに、今のところ子どもの新型コロナウイルスによる重症例は多くありません。
しかし、子どもたちの生活は完全に壊されてしまっています。
私はすべての家庭、そしてリーダーに訴えます、「子どもたちを守ろう」と今日、国連は COVID-19によって子どもたちたちが直面しているリスクに関するレポートを発表します。
1つ目は、教育です。
現在、世界中のほぼすべての子どもが学校に通えていません。
遠隔授業を提供している学校はあるものの、すべての子どもが遠隔授業を受けられているわけではありません。インターネット接続が低速、あるいは高価な国の子どもたちは非常に不利な状況に置かれています。
2つ目は、食料です。
世界の子どもの人口の半分に近い、3億1,000万人という夥しい数の子どもたちが、日々の栄養の摂取を学校の給食に頼っています。
COVID-19の拡大以前から、既に許容できないほど高い割合で、世界の子どもたちは栄養失調や成長阻害に直面していました。
3つ目は、安全です。
子どもたちが学校に通えず、都市封鎖や世界的に不況が悪化していることから、家庭内ストレスが蓄積しています。
子どもは家庭内暴力の被害者でもあり、目撃者でもあります。
学校が閉鎖されたことで、早期の危険察知メカニズムが失われています。
また、女児たちが退学する恐れがあり、十代の妊娠の増加につながる危険性もあります。
そして、子どものインターネットの使用が増えるとで、それに伴う危険が増すことも無視してはなりません。
インターネットの使用によって子どもが性的搾取の被害に遭いやすくなります。
友人や知り合いとの対面接触が減ることで、子どもが自ら裸体画像を他人に送るなど、危険な行動を取る可能性が高くなり得ます。
また、インターネットの使用が不定期に、また長時間化することで、子どもが危険で暴力的な内容にさらされてしまったり、ネット上のいじめ被害に遭いやすくなったりする恐れがあります。
すべての政府機関や親は子どもの安全を守る役割があります。
SNS企業には特に脆弱な立場に置かれた人々を守る責任があります。
4つ目は、健康です。
家計所得の減少によって、貧しい家庭は必須な医療費や食費を削減せざるを得ず、特に子ども・妊婦・授乳中の女性が影響を受けてしまいます。
ポリオワクチンの接種キャンペーンは中断されてしまっています。
麻疹ワクチンの接種は少なくとも23カ国で中断されています。
そして、医療サービスが逼迫している中、体調を崩している子どもたちの医療へのアクセスはますます難しくなっています。
世界不況が加速するなか、2020年内でさらに何十万もの子どもの命が失われる可能性があります。
これらは、報告書の中で挙げられている調査結果のわずか一部です。報告書の結論は明白です。
こうした脅威の一つひとつから子どもたちを守るために、いま行動を取らなければなりません。
リーダーたちはパンデミックの影響を緩和するために最善を尽くさなければいけません。
COVID-19は当初、公衆衛生上の緊急事態として始まりましたが、「誰一人取り残さない」という国際的な約束の実現性を問う恐るべき試練と化しました。
この報告書はすべての子どもたちの教育を優先させるよう政府・ドナーに促します。
この報告書は低所得世帯への現金給付を含む経済的援助の実施、また子どもたちへの社会保障医療サービスの崩壊を最小化するよう、政府・ドナーに促します。
私たちは、紛争地域の子どもたち、難民や難民の子どもたち、障がいをもった子どもたちなど、最も脆弱な立場に置かれた人々を優先的に守らなければいけません。
最後に、私たちはCOVID-19からの復興を、持続可能な開発目標(SDGs)に沿った更なる持続可能で包摂的な社会の実現に活かし、より良い社会を目指さなければいけません。
パンデミックによって、多くの子どもが危機的状況に置かれているなか、私は緊急アピールを繰り返し訴えます。子どもたちを、子どもたちの健康を守りましょう。
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原文(English)はこちらをご覧ください。