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広島平和記念式典に寄せる アントニオ・グテーレス国連事務総長ビデオ・メッセージ (広島、2020 年 8 月 6 日)

プレスリリース 20-051-J 2020年08月06日

平和記念式典参加者の皆様にご挨拶ができることを光栄に思いますとともに、広島に投下された原子爆弾の犠牲者の方々に謹んで哀悼の意を表します。

75 年前、一つの原子爆弾が言葉では表せないほどの死と破壊をこの街にもたらしました。

そして、その影響は今もなお残っています。

しかし、この街と市民の皆様は、「惨禍」ではなく、「復興」や「和解」、「希望」の象徴となることを選ばれました。

核軍縮の比類なき提唱者であられる被爆者の方々は自らの悲劇を転じ、人類すべての安全と幸福を推し進めるために声を上げて来られました。

1945 年という同じ運命の年に誕生した国際連合は、広島と長崎に降りかかった死と永遠に切っても切れない関係にあります。

創立当時、そして最初の総会決議が採択されて以来、国連は核兵器を完全に廃絶する必要性を認識していました。

しかし、その目標は未だ達成されていません。

核兵器の保有が安全保障を強化するのではなく、弱体化させるという教訓は、75 年という長い歳月が経った今も未だ学ばれていません。

今日、核兵器のない世界は我々の手からすり抜け、さらに遠のいて行くように見えます。

冷戦期及びその終了とともにできた数々の軍備管理、透明性、信頼醸成措置の網の目がほころんできています。

対立、不信感、対話の欠如により世界が無制限な戦略的核競争の再発の脅威にさらされています。

核保有国は兵器の近代化を進め、新しい危険な兵器とその運搬手段を開発しています。

意図的あるいは偶発的に、もしくは誤算によって核兵器が使用されるリスクは非常に高く、このような傾向が続くことは許されません。

私は、完全な核兵器廃絶につながる共通のビジョンと道程に戻るよう、加盟国に繰り返し呼びかけます。

すべての国が有益な役割を果たすことができる一方、核兵器を保有している国には特別な責任があります。

核保有国は完全な核兵器の廃絶を繰り返し誓約してきました。

今こそ対話と信頼醸成、核兵力の削減、最大限の自己抑制が必要な時です。

そして、私たちは国際的な不拡散・軍縮制度を守り、強化しなければなりません。

来年の核兵器不拡散条約運用検討会議において、締約国はこの共通のビジョンに立ち返る機会があります。

核兵器禁止条約は軍縮体制の更なる柱であり、私はその発効を心待ちにしています。

包括的核実験禁止条約の発効は、核実験に反対する世界的な規範を定着させ、制度化するための最優先事項です。

本日の式典は私たちの生活に多くの混乱をもたらした、新型コロナウイルスの世界的流行の影の下に取り行われています。

この感染症は、世界に多くの脆弱性が存在することを見せつけています。その中には核兵器の脅威に直面する脆弱性も含まれます。

核兵器の危険を完全に排除する唯一の方法は、核兵器を完全に廃絶することです。

若者たちは重要な役割を担っています。彼らと市民社会全体が一丸となって、軍縮という理念のために自分たちの力を発揮できることを幾度も証明してきました。

私たちは、彼らの考えに耳を傾け、彼らの声が聞かれる場を作るべきです。

国連と私は、核兵器のない世界という共通の目標を目指している皆様とともに、引き続き努力してまいる所存です。

ご清聴ありがとうございました。

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