安全保障理事会の公開会合でのアントニオ・グテーレス国連事務総長挨拶:「紛争や不安定な状況下にある人々にCOVID-19ワクチンへの公平なアクセスを」(2021年2月17日)
プレスリリース 21-007-J 2021年03月05日
各国代表の方々、皆様、
まず、本会合を開催いただいき、そしてグローバル停戦に対する私の呼びかけに強く賛同いただいた英国に感謝します。人々の苦しみを緩和し、外交の場を作り出し、世界中にワクチンを届けるといった人道上のアクセスを可能にするためにも、グローバル停戦は必須なのです。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は無慈悲に世界中を席巻し、命を奪い、経済を破壊し、持続可能な開発目標(SDGs)に向けた歩みを阻んでいます。
このパンデミックは、不安定をもたらすすべての要因を悪化させ、敵対行為の停止と紛争予防、紛争解決を規定した安全保障理事会決議2532号を履行する私たちの努力を妨げています。
COVID-19に打ち勝つことは、そのことが私たちにとって科学的に可能となりつつある今、これまでに以上に重要性を増しています。
COVID-19ワクチンの展開は、希望を生み出しています。
この重要な時に、ワクチンの公平なアクセスを通して、国際社会のモラルが試されています。
私たちは、あらゆる国に住むあらゆる人々も、できるだけ速やかにワクチン接種を受けられるようにすることを確実にしなければなりません。
しかし現在、ワクチン接種の進展には大きな格差があり、公平ではありません。
世界で供給されているCOVID-19ワクチンのうちの75%が、わずか10カ国で接種されています。
その一方で、130カ国以上では、1回分のワクチンさえ受け取れていません。
紛争や不安定な状況下にある人々は特に、取り残されるリスクが高まっています。
パンデミックに襲われた時、「安全だ」と言えるのは、すべての人々が安全になった時のみなのです。
もしウイルスが「グローバル・サウス」やその一部で山火事のように広がるのを許せば、何度も何度も変異を繰り返すでしょう。そして変異したウイルスは、より感染しやすく、より重篤な症状を引き起こすかもしれず、現在のワクチンや診断法の有効性にとっても脅威となる可能性があるのです。
そうなれば、パンデミックは著しく長期化し、ウイルスは再び「グローバル・ノース」を苦しめることになるかもしれません。
そして、世界経済の回復も遅れることでしょう。
これまで私たちは、中低所得国に向けてワクチン調達と配布を行う唯一のグローバルツールである「COVAXファシリティー」という枠組みの構築に共に取り組んできました。
COVAXには十分な資金が必要ですが、私たちはそれ以上に行動しなければなりません。
私たちの取り組みは、あらゆる場所において、包括的に行われ、適切に調整されている必要があります。
世界は今、必要な権限、科学的な専門知識、そして製造面および資金面での能力を持った人々を結集する「グローバルワクチン接種計画」を緊急に必要としています。
私は、この「グローバルワクチン接種計画」を準備し、その実施と資金調達の調整を行う緊急タスクフォースを設置する上で、G20はとても良い主体であると確信しています。
このタスクフォースは、世界保健機関(WHO)、Gavi、その他の関連専門機関や国際金融機関とともに、ワクチン開発が可能である、またはライセンス供与を受ければワクチン製造が可能であるすべての国を含む必要があります。
このタスクフォースは、製薬企業、主要産業、物流関係者を結集させる能力を持つことになるでしょう。
私は、国連システム全体に対し、この取り組みへの支援を促す準備ができています。
また、今週後半のG7会合は、必要な財源を動員する機運を生み出すことに弾みをつけてくれることでしょう。
共に協力すれば、私たちは、ワクチンの十分な供給と公平な分配、ワクチンへの信頼を確実なものにすることができます。
私たちは、このウイルスに打ち勝つことができるのです。
経済を再び軌道に乗せることができるのです。
私は、それは可能であると確信しています。皆で一緒に実現させましょう。
ありがとうございました。
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