第14回国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)の開会に寄せるアントニオ・グテーレス国連事務総長挨拶(京都、2021年3月7日)
プレスリリース 21-009-J 2021年03月07日
第14回国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)の開会にあたりご挨拶できることを嬉しく思います。
半世紀以上にわたり、本コングレスは各国政府、国際機関、地域機関、市民社会、専門家、および学者たちが、犯罪防止と刑事司法における共通課題への解決策を模索する最大かつ最も多様な会合の場となっています。
日本の法務大臣である上川陽子氏が、本コングレスの議長として選出されたことにお祝いを申し上げるとともに、日本が素晴らしい会議運営を果たされていることに感謝し、また、第13回コングレスの開催国であったカタールの貢献を称えたいと思います。
また、犯罪防止、刑事司法、および法の支配に対する多国間の解決策を前進させているすべての出席者の方々のご尽力に感謝いたします。
本コングレスのテーマが示しているように、持続可能な開発目標(SDGs)の達成には、皆様の努力が不可欠です。
皆様は、世界中を大混乱に陥れている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックという状況下でお集まりいただきました。
現在、COVID-19の危機がもたらした混乱は、社会から取り残されリスクにさらされる人々を搾取する新たな機会を犯罪者たちに与えてしまっています。
私たちは重大な選択のときにあります。
COVID-19パンデミックからの回復は、何世代にもわたり社会を蝕んできた深刻な不正や不平等に対処する機会を提供しています。
不平等は、すべての人の発展への妨げとなります。
そして、私たち皆がその結果に苦しむのです。
大きな不平等というものは、経済の不安定化、腐敗、金融危機、犯罪の増加、心身の不健康に関連しています。
犯罪防止、刑事司法、および法の支配は、国家と国民の間の社会契約を見直す上で重要な役割を果たします。
法の支配を尊重することは、人権の礎となり、社会、政治、そして経済分野における持続可能な発展を可能にします。
人々が必要としているのは、すべての人に適用でき、差別を容認しない包括的な司法システムです。
制度への信頼を回復し法の支配と司法制度へのアクセスを強化することは、腐敗を防止し、不正な資金の流れを阻止するとともに、脆弱な立場に置かれた人々を組織犯罪や暴力、人身売買、オンライン上の搾取、テロリズムへの傾倒から守るために必要です。
本コングレスでの採択のために国連犯罪防止刑事司法委員会により承認された「京都宣言」は、犯罪がますます多国籍化し、組織化され複雑化していることを認識します。
犯罪者は最先端の新興技術を悪用して違法行為を行い、その中にはサイバー犯罪も含まれます。
サイバー空間における不法行為は、犯罪が増殖する新たな領域を生み出しました。
未来において法の支配は、司法制度への人々のアクセスを促進し、誤情報やヘイトスピーチの拡散などを含む新たなトレンドに対処するテクノロジーを活用して構築されるものでなければなりません。
本コングレスの議題は、現在の危機下における犯罪防止と刑事司法の強化に必要な対応に焦点を当てています。
この中には、社会的・経済的発展を下支えする包括的な犯罪防止戦略、刑事司法制度を強化する統合的な対応、そしてあらゆる種類の犯罪を防止し対処するための国際協力と技術支援の再活性化が含まれます。
私は、パンデミックという困難な状況の中で本コングレスの開催を可能にしてくださったすべての方々に感謝します。
本会合を通じて、国際協力を活性化させ、正義と誠実性が確保された世界への道を切り開こうではありませんか。
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