ウクライナでの戦争に関して報道陣に対するアントニオ・グテーレス国連事務総長発言(ニューヨーク、2022年3月22日)
プレスリリース 22-014-J 2022年03月24日
1カ月前、ロシア連邦は国連憲章に違反して、ウクライナが主権を有する領土に大規模な侵攻を開始しました。
侵攻は、ウクライナとの国境沿いで圧倒的な規模の軍事力を数カ月にわたって増強した上で行われました。
それ以来、私たちは、都市、町、村において、おぞましいほどの人的苦難や破壊を目の当たりにしてきました。
民間人を恐怖に陥れる、組織的な爆撃。
病院、学校、アパート、避難所に対する砲撃。
そして、そのすべてが激化しており、時を経るごとに、より破壊的に、より予測不能になりつつあります。
1,000万ものウクライナ人が、故郷を追われ、移動を余儀なくされています。
しかし戦争は、急速に行き詰まりを見せています。
マリウポリは、2週間以上にわたってロシア軍に包囲され、容赦ない爆撃、砲撃、攻撃を受けています。
何のためにでしょうか?
たとえマリウポリが陥落しても、街から街へ、通りから通りへ、そして家から家へと、ウクライナを征服できるわけではありません。
これらすべての結果として残るのは、見渡す限りのさらなる苦難、さらなる破壊、さらなる恐怖のみです。
ウクライナ国民は、生き地獄を耐え忍んでいます。そして、世界中が影響を受け始めています。食料、エネルギー、肥料の価格が急騰し、世界中で飢餓の危機に陥るおそれがあります。
開発途上国は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と十分な資金へのアクセスの不足という重圧の下で、すでに窒息しかけていました。
そして今や、この戦争による高い代償も払っているのです。
しかし、希望を捨てることはできません。
私から様々な関係者への働きかけを通じて、いくつかの主要課題に関して、外交上の前進の要素が見えつつあります。
今すぐ戦闘行為を停止し、そして、今すぐ真剣に交渉するのに十分な検討材料が出揃っています。
この戦争に、勝者はいません。遅かれ早かれ、戦場から和平交渉のテーブルへと移らざるを得ないのです。
それは、必然なのです。
問われるべき疑問は、
どれほどの人命が、さらに失われなければならないのでしょう?
どれほどの爆弾が、さらに投下されなければならないのでしょう?
どれほどの都市が、マリウポリのように破壊されなければならないのでしょう?
この戦争に勝者はなく、敗者しかいないと誰もが気付くまでに、どれほどのウクライナ人とロシア人が殺されるのでしょう?
どれほどの人々が、ウクライナでさらに命を落とさなければならず、戦争が終わるまでに、世界でどれほどの人々が、飢餓に直面しなければならないのでしょう?
ウクライナで戦争を続けることは道義的に受け入れられず、政治的に擁護できず、軍事的にも無意味です。
およそ1カ月前に私がこの演壇で述べたことが、今日、より一層明白になっています。
どんな基準に照らしても、そしていかに賢く見積もったとしても、今こそが戦闘を停止し、平和に機会を与える時です。
今こそ、この不条理な戦争を終わらせる時なのです。
ありがとうございました。
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