シリア情勢に関する事務総長の安全保障理事会発言
プレスリリース 13-067-J 2013年09月30日
シリア情勢に関する
潘基文(パン・ギムン)国連事務総長の安全保障理事会発言
(ニューヨーク、2013年9月27日)
きょうの歴史的な決議は、シリアに関する久しぶりに明るいニュースとなりました。
私はこれまで、数カ月にわたり、シリアでの化学兵器の使用が確認されれば、断固とした集団的対応が必要になると申し上げてきました。
今夜、国際社会はその責任を果たしたのです。
私は安全保障理事会(安保理)の各理事国に賛辞を送ります。ロシア連邦のセルゲイ・ラブロフ外相と米国のジョン・ケリー国務長官の尽力には、特に感謝します。
現地に派遣された調査ミッションが確認したとおり、シリアでは化学兵器が使用されました。この犯罪の実行犯を裁かねばなりません。
セルストレム教授率いる調査ミッションは今週、ハンアルアサルでの事件を含む調査を完了するため、再びシリアに入りました。調査ミッションは来週までに、事実関係の確認調査を完了すると見られます。私はその最終報告書を直ちに、皆様と全加盟国にお渡しします。
同時に、国際社会には、こうした大量破壊兵器が戦争やテロの手段として二度と用いられることがないようにする責任があります。
化学兵器禁止条約の寄託先として、私はシリアの条約加入と、その暫定的な履行の宣言を歓迎します。きょうの化学兵器禁止機関(OPCW)執行理事会による重大な決定は、シリアが保有する化学兵器の廃棄とその検証について、意欲的かつ現実的な期限を定めています。
この作業が大がかりなものとなること、そして、シリアで紛争が続いていることに鑑み、国連とOPCWは暫定的な協定を結んでいましたが、この協定は今回の決議に基づき正式に発足し、私の安保理に対する提案の根拠となる予定です。
私はアフメット・ウズムジュOPCW事務局長の協力的な姿勢に感謝します。私たちは10月1日、ダマスカスに初めて調査チームを派遣することになっています。
調査チームは、すべての国連部局から全面的な支援を受けて活動します。
きょうの決議により、シリアが保有する化学兵器はできるだけ早く、最大の透明性と説明責任を伴い廃棄されることでしょう。
化学兵器廃棄の検証は、どのような状況下でも困難な作業です。シリアでは、科学者と技術者からなる調査チームが、紛争の継続という現実と闘わなければなりません。
この任務の成否は、シリア政府が誠実に、遅滞なくその義務を果たすかどうかにかかっています。その中には、OPCW要員と国連要員の身の安全を確保することも含まれています。
反体制派による協力も重要です。あらゆる当事者が、化学兵器の恒久的廃棄に共通の利益を有するからです。
また、このプロセスには国際社会の積極的関与も必要です。私は、これまでに国連とOPCWの活動に対していただいた支持の表明に感謝いたします。
2つの機関は今後、シリアが保有する化学兵器の廃棄を促進できる方法をさらに模索していきます。私はいずれ、安保理に提言を出す予定です。
この重要な一歩を踏み出すにあたっても、私たちはシリアで爆弾や戦車、手りゅう弾や銃による数々の恐怖が続いていることを忘れてはなりません。
ある種の兵器が禁止されたからといって、他の兵器なら使ってもよいわけではありません。通常兵器なら自由に人を殺してもよいということにはならないのです。
あらゆる暴力を終わらせなければなりません。あらゆる銃声を消さねばなりません。
私たちは安保理が再び団結を取り戻したことを踏まえ、劣悪な人道状態と政治危機という、同じく重大な紛争の2つの側面に集中的に取り組まなければなりません。
私は安保理理事国が、シリア政府と反体制派に対し、人道援助の提供に対する障害の除去を含め、国際人道法に基づくその義務を果たすよう強く求めるものと期待しています。包囲されているコミュニティの中には、10カ月以上も孤立無援の状態に置かれているものもあるからです。
安保理は、2012年6月30日のジュネーブ・コミュニケに基づき、包括的で、シリア人主導による政治的プロセス以外に、シリアに平和をもたらす方法がないという点で合意しています。きょうの決議は、ジュネーブ・コミュニケをできるだけ早く実施に移すため、シリアに関する国際会議の招集を求めています。
各国代表の皆様、今こそこの会議をできる限り早く実現すべきです。国連はすべての準備作業を終えています。アサド大統領はジュネーブに代表団を送る用意があることを明らかにし、シリア国民連合も参加の意思を表明しています。
先週の私たちの討議では、この「ジュネーブⅡ」会議が中心的議題になりました。
25日に安保理常任理事国5カ国の外相を招いて開いた昼食会で、私たちはシリアの参加者を確実に会議に出席させ、誠実な交渉を行わせることで合意しました。
[ラクダール]ブラヒミ・アラブ連盟・国連共同特別代表と私はきょうも、この話し合いを加盟国との間で継続しました。
私たちは11月中旬の会議開催を目途としています。ブラヒミ特別代表はその間、成功を確保するために必要なすべての準備作業を行います。
安保理メンバーの皆様、
この紛争を平和に解決するための課題を甘く見ている人は誰もいません。
シリアの両当事者は、シリアの人々すべての人権を保障する民主国家の創設に向け、建設的な関与を行わなければなりません。
地域の関係者は、和平プロセスの頓挫を企てる者、および、シリアの主権、統一、領土的立体性を全面的に尊重しない者に異議を唱える責任があります。
そして安保理理事国は、個別にも全体的にも、ジュネーブ・プロセスを恒久的な平和解決に向けて進めるうえで、重要な役割を担わなければならないのです。
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-事務総長の安保理報告の模様は、以下のリンクからご覧になれます。
-決議採択についての安保理プレスリリース(日本語)は、以下をご覧ください。
https://www.unic.or.jp/news_press/info/4801/
-国連広報局(DPI)シリア特集ページ
http://www.un.org/apps/news/infocusRel.asp?infocusID=146&Body=Syria&Body1=