持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム* 閉幕にあたってのアントニオ・グテーレス国連事務総長発言 (ニューヨーク、2023年9月19日)
プレスリリース 23-054-J 2023年09月26日
議長、各国代表の方々、皆様、
今回のSDGサミットを開催するにあたり、行動呼びかけを行いました。
今日、皆様はその呼びかけに対して、持続可能な開発目標(SDGs)の救済計画をもって応えました。
皆様は、SDGsの達成に向けた、そしてあらゆる人が必要とし、あらゆる人に与えられるべき持続可能な未来に向けた前進を推し進めるために自国がどう取り組んでいるのかについて、新たなアイデアとストーリーを携えて今回のサミットに臨まれました。
ですが皆様は、はるかに重要なものを携えて、この議場を後にしようとしています。それはつまり、「開発のやることリスト」です。
私たちは、今回のサミットの機運を最大限に活用し、今後数カ月にわたり、前進に拍車をかけなければなりません。そしてそれは、7つの主要分野で実行することができます。
第1に、「SDG刺激策(SDG Stimulus)」に対する支援を、開発途上国に向けた実際の投資へと移行してください。
私たちは、国際金融機関などのメカニズムからの資金も含めて、持続可能な開発のために毎年少なくとも5,000億ドルに届く必要があります。
このイニシアチブを前進させるため、私は、2024年末までにこの5,000億ドルの継続拠出を開始できるように、一連の明確なステップを実行するリーダーズ・グループの編成を呼びかけています。
第2に、今回のサミットでのコミットメントを、具体的な政策、予算、投資ポートフォリオ、行動に落とし込んでください。
そして、自発的国別レビュー(VNR)の重点を、説明責任を推し進め、今回のSDGサミットでのコミットメントに対する進捗状況を一覧にするように、変更してください。
第3に、今回注目された6つの主要なSDG移行、つまり食料、エネルギー、デジタル化、教育、社会的保護と雇用、そして生物多様性にわたる行動に対する支援を強化してください。
国連の開発システムでは、今後数カ月にわたりこうした取り組みを次の段階へと進め、来年7月のハイレベル政治フォーラムでその進捗を評価します。
第4に、社会的保護への投資を大幅に増額する計画を今すぐ作り始めてください。
私たちは、「(公正な移行のための)雇用および社会的保護のグローバル・アクセラレーター」を実現させ、2025年までに新たに10億人、2030年までに40億人を、その対象としなければなりません。
第5に、政治宣言が明らかにしているように、先進国が、政府開発援助(ODA)を国民総所得(GNI)の0.7%にする目標を達成すべき時が来ています。
来年の年間予算における優先支出項目を計画するにあたり、この目標達成を実現させてください。
第6に、来月の国際通貨基金(IMF)・世界銀行の総会を、「これまでと同じやり方」にしてはなりません。
資本増強に加え、私たちは未使用の特別引出権(SDR)1,000億ドルを、緊急かつ追加的に振り向ける必要があります。
また、各国の政府代表は、開発途上国の支援に民間資金を大規模に活用するための具体的な提案を携えて臨むべきです。
これには、政治宣言で求められている、官民のブレンドファイナンスや債務スワップの活用といった、革新的な融資メカニズムに関する提案も含めるべきです。
より広範には、私たちはグローバルな債務メカニズム全体を改善する必要があります。その手段としては、手続きを迅速化させること、即時の債務停止を可能にすること、緊急の必要性に迫られた国々に対しより長期かつ支払い可能な条件で債務を再編することが含まれます。
そして私たちは、政治宣言に沿ってグローバル金融アーキテクチャを改革し、来年(2024年)の「未来サミット」や2025年開催予定の次の「開発資金国際会議」に間に合うように、具体的な提案を作成する必要があります。
第7に、気候変動の最悪の影響を回避し、必要不可欠な支援を提供するというグローバルな約束を守り、開発途上国の再生可能エネルギーへの公正かつ公平な移行の達成を支援するための、具体的な計画と提案を携えて、今年11月の「気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)」に臨んでください。
特に今回のCOP28は、新たな「損失と損害基金」と、「生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)」で呼びかけられた「「生物多様性枠組基金:Global Biodiversity Framework Fund (GBF Fund)」」の運用を開始する時となります。
今年こそ、自然との無意味な戦争に終止符を打つことを、言葉から行動へ移さねばなりません。
各国代表の皆様、
開発のやることリストは、単なる宿題(ホームワーク)ではありません。
これは、希望に向けた取り組み(ホープワーク)なのです。
そして行動は、希望を叶えるための対価です。
私たちの目の前には、政治宣言に盛り込まれた救済計画があります。
今こそ、宣言に書かれた文言を実行し、かつてない規模で開発に投資する時です。
今こそ、自国に戻って、SDGsの達成に必要な政策、予算、投資に取り組む時です。
そして何よりも、今こそリーダーシップを発揮する時です。
今こそ、より良く、より健康的で、より平和で、持続可能かつ豊かな世界のために、行動を起こそうではありませんか。
ありがとうございました。
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* 今フォーラムの通称は「SDGサミット」です。
原文(English)はこちらをご覧ください。