ホロコースト犠牲者を想起する国際デー(1月27日)に寄せるアントニオ・グテーレス国連事務総長メッセージ
プレスリリース 24-004-J 2024年01月27日
きょう、私たちは立ち止まり、ナチスやその協力者によって組織的に殺害された600万のユダヤ人の子どもたち、女性たち、男性たちを偲びます。そして、ロマやシンティの人々、障害者、ホロコーストで迫害され殺害された数多くの人々に深い悲しみを表します。
私たちは、彼らを追悼します。
私たちは、ホロコーストの生存者と、その家族や子孫と連帯します。
私たちは、起きたことの真実を決して忘れず、風化させないことを誓います。
そして私たちはこの追悼の日に、現代において恐ろしい共鳴が起きていることを認識します。
ホロコーストに拍車をかけた反ユダヤ主義的な憎悪は、ナチスから始まったわけでもなければ、ナチスの敗北によって終わったわけでもありません。
今日、憎悪が憂慮すべき速度で拡散しています。
インターネット上では、憎悪は周縁から主流へと躍り出ています。
しかし、まさにきょうこの日こそ、私たちは肝に銘じねばなりません。
他者を悪者扱いし、多様性をないがしろにすることは、すべての人々にとって危険だということを。
不寛容やさらに悪い行為に影響を受けない社会はないということを。
そして、ある集団に対する偏狭は、すべての人々に対する偏狭だということを。
英国の元ユダヤ教最高指導者ジョナサン・サックス氏の印象深い言葉にあるとおり、「ユダヤ人から始まった憎悪がユダヤ人で終わることは決してない」のです。
そして今日、とりわけ昨年10月7日のハマスによるおぞましいテロ攻撃を受けて、私たちは、憎悪や分断の力に立ち向かう決意をしなければなりません。
反ユダヤ主義に直面した際は、時と場所を問わず、明白に非難しなければなりません。イスラム教徒に対する憎悪や、少数派のキリスト教のコミュニティーに対する暴力を含めた、あらゆる形態の人種主義、偏見、宗教的偏狭を非難しなければならないのと同様にです。
差別を前に決して沈黙することなく、不寛容を決して容認しないようにしようではありませんか。
すべての人々の人権と尊厳のために、声を上げようではありませんか。
お互いの人間性を決して見失うことなく、警戒を怠ることが決してないようにしようではありませんか。
偏見や迫害に立ち向かうすべての人々に、はっきり伝えようではありませんか。あなた方は、独りではないのだと。
国連は、あなた方とともにあります。
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