世界水の日(3月22日)に寄せるアントニオ・グテーレス国連事務総長メッセージ
プレスリリース 24-012-J 2024年03月22日
水のための行動は、平和のための行動です。今、その行動がかつてないほどに必要とされています。
私たちの世界は、荒れ狂う波の中にあります。紛争が激化し、不平等がはびこり、汚染や生物多様性の喪失が蔓延しています。また、人類が化石燃料を燃やし続ける中で、気候危機は凄まじい勢いで加速しており、平和を一層脅かしています。
私たちの地球は、熱くなっています。海面が上昇し、降雨パターンが変化し、河川の流量が減少しています。その結果、ある地域では干ばつが発生し、別の地域では洪水や海岸浸食が発生しています。一方で、水の汚染や過剰消費は、すべての生命が依存している、新鮮できれいで入手しやすい水の供給を脅かしています。供給量の減少は、人々、コミュニティー、国家間の競争を激化させ、緊張を高めるおそれがあり、それによって紛争のリスクが高まっています。
今年の「世界水の日」のテーマは「平和のための水」です。その実現には、はるかに大きな協力が必要です。現在、153の国々が水資源を共有しています。しかし、共有しているすべての水に関して協力協定を報告しているのは、わずか24カ国にすぎません。私たちは、国境を越えて協力する取り組みを加速させなければなりません。私はすべての国々に対して、共有の水資源の持続可能な管理を促進する国連水条約に加盟し、履行するよう要請します。
協力して水を守ることは、平和のための力となり、平和を持続させることにつながります。「ウォーター・スチュワードシップ」によって、マルチラテラリズム(多国間主義)やコミュニティー間の関係を強化し、気候関連災害に対するレジリエンス(強靱性)を構築することができます。さらに、健康を促進し、貧困や不平等を削減し、食料と水の安全保障を高めるなど、平和な社会の基盤である持続可能な開発目標(SDGs)に向けた前進を推し進めることもできるのです。
水を、協力、調和、そして安定のための力に変え、あらゆる人々にとって平和で繁栄する世界を築くために、共に協力することを誓おうではありませんか。
* *** *
原文(English)はこちらをご覧ください。